家の外壁や、室内の壁に木が使われた「木の家」にあこがれる方は多いですよね。
木の家はおしゃれなだけではなく、自然素材である木からの癒しを感じることもできます。
この記事では、木の家をローコストに建てるためのコツをご紹介します。
人工的な材料を使ったローコスト住宅以上に安くはできなくても、比較的安く木の家が建てられたらうれしいですよね。
- 木の家をローコストに建てるためのコツとは?
- 木の家を建てるメリット・デメリットとは?
この記事の目次
安全でローコストな木の家を建てるコツ3選
木の家を安く建てるためには、早い段階から気を付けるべきポイントがあります。
メーカー選びからこだわって、ローコストな木の家づくりを実現させてくださいね。
木の家を標準にしているメーカーを選ぶ
木の家を建てることを、標準プランとしているメーカーを選ぶと、木の家は安く建てやすくなります。
木の家が標準プランなら、そのメーカーでは木をたくさん使うことになります。
たくさん使う材料は一度にまとめて仕入れるので、仕入れ単価を安くしやすくなるのです。
また、木の家を標準として建てているメーカーなら、木の家の施工事例もたくさんあるはずです。
そのメーカーが建てた家が数年後どのように変化するのか見るチャンスもあるかもしれません。
木は工場生産の人工的な材料と違い、メーカーにより差が出やすい材料なので、実績あるメーカーを選ぶのがおすすめです。
床板は幅が狭いものを選ぶ
無垢の床材は、幅を狭くすると平米単価を安くできるかもしれません。
より幅の広いフローリングは一本の丸太から限られた量しか生産できないため、フローリングの価値が上がる、すなわち価格が上がるということになります。
同じ種類の木で比較すると、幅の狭い無垢材の方が価格は安くなるのです。
ちなみに比較的安いとされる樹種はパイン材で、高くなりやすいのがウォールナット材です。
- 幅の広い無垢材は1本の木から少ししか取れない
- ウォールナットはパインより成長が遅いので流通量が少ない
価格に影響するポイントは「希少性」です。
手に入りにくいものの価格が高くなるのは、一般的な物資も同じですね。
もし無垢材を採用することに重点を置くなら、床材の幅や樹種を調整して、コストカットするのもおすすめですよ。
集成材と無垢材の使い方にメリハリをつける
集成材とは、小さな木材を接着剤で接着した木材
無垢材とは、天然の木から切り出した木材
厳選した部分にだけ無垢材を使い、それ以外を集成材にするなど、メリハリのある使い分けをするのはコストカットのコツです。
例えば、長時間過ごすリビングや、多くの人に見られる玄関などには無垢材を選びます。
見えない躯体部分や、通路の床材などは集成材を選ぶといった使い分けです。
集成材は木材ではありますが、人工的に接着して作られた木材です。
そのため無垢材と比較すると、安くて品質も安定しています。
品質が安定していると、職人の技術の影響を受けにくいので、家づくりにはむしろ集成材の方が扱いやすい面もあります。
しかし心地よさや見た目では、無垢材の方が勝るので、こだわりの部分には無垢材を使うのがおすすめです。
木の家をローコストに建てるときの注意点とは
ローコスト住宅メーカーならではの注意ポイントを確認しましょう。
できるだけ標準プランから変更がないようプランニングを進めることが、ローコストにするためのコツです。
標準に指定されている木材の種類を確認する
選んだメーカーが標準として使っている木材でプランニングをすると、家づくりは安くしやすくなります。
ローコスト住宅メーカーのプランニングでは、イレギュラーな選択をすると、オプション料金がかかることが多いためです。
ローコスト住宅メーカーが、安さを実現する方法をご覧ください。
- 規格住宅を採用している
- 材料の仕入れ効率をよくして単価を下げている
これは、ローコスト住宅メーカーが安さを実現できる理由の一例です。
とくに、規格住宅を採用していることは、安さの大きな理由とされます。
規格住宅のプランニングは、限られた選択肢から選ぶことで進められます。
選択肢が限られているということは、使う材料も限定されるため、同じ材料を大量に仕入れても無駄が発生しにくいのです。
たくさん仕入れると、単価が安くなるというからくりですね。
なかには一般的に高級とされる木材を標準にしているメーカーもあるので、契約前に確認するのがおすすめですよ。
シロアリ対策について確認する
選んだメーカーが、どのようなシロアリ対策をしているのか、必ずご確認ください。
シロアリ対策は、すべてのメーカーに義務化されているものではないため、対策そのものをしていない可能性もあるのです。
薬剤の散布処理は、新築工事のときにおこなうと、散布範囲を広くできます。
そのため、効果が高くなるとされます。
家が完成してから別業者を手配してシロアリ対策をすることもできますが、建築時に対策するのがよいでしょう。
- 薬剤散布
- 床下の換気がよい構造にする
- 家の周りにものを置かない
家の床下へのシロアリ対策はもちろん、家の周囲に湿気がこもらないようにする工夫も大切です。
これは新築後、施主ご自身で対応する必要がある項目といえます。
またウッドデッキなども、シロアリを呼び寄せる原因になることがあるので、そのリスクも考慮してプランニングしましょう。
木の家を建てるメリットとは?
自然素材が材料となる、木の家にあこがれる方は少なくありません。
木の家には具体的にどようようなメリットがあるのでしょうか。
調湿効果がある
材料の木材が、室内の湿度を調節してくれることは、木の家に暮らすことのメリットです。
室内の湿度が高いときは、木材が水分を吸収してくれます。
反対に、湿度が低く乾燥するときは、木材が水分を放出するのです。
このような調湿の働きのため、木材は収縮したり膨張したりします。
床板の隙間などは、季節によってわずかに幅が変わるほどです。
木の家は、材料として使われた木材のおかげで湿度が一定に保たれ、快適な生活ができる家といえますね。
経年変化を楽しめる
木材は生きているので、年月とともに変化します。
この経年変化は、人工的に作られた材料では楽しめないポイントです。
木材は傷がついたり、日光により変色したりしますが、そのことにより深みが出たと評価されるでしょう。
長期間使い込んだ木材には、愛着を感じる方も多いはずです。
しかしきちんとメンテナンスをしないと、木材も劣化してしまいます。
木材のひび割れなどを放置すると、そこから劣化が進んでしまいます。
ちょっとしたダメージでも、できるだけ早く補修するのがおすすめです。
外壁が木材の場合は、塗装やコーティングをしますが、放置はできません。
これらも、木の収縮によりはがれやすくなるリスクがあるので、適切なメンテナンスは必須です。
材料が廃盤になることがない
自然素材である木材は、廃盤になることがありません。
外壁や床材にダメージが生じて交換したくなったとき、自然素材なら同じ材料で補修することができるでしょう。
一方、工場生産される材料は、その生産が終了してしまえば廃盤となります。
そうなれば似た材料で一部を補修するか、全面的に新しい材料で作り直すしかなくなります。
木の家は、大切に手入れしながら長く暮らす家にぴったりですね。
木の家を建てるデメリットとは?
あこがれだけで木の家を建てると、思いもよらないデメリットがあるかもしれません。
木の家のデメリットを確認してみましょう。
無垢材は費用がかかる
無垢材や樹種にこだわって建てると、ハイコストになりやすいのは、木の家を建てることのデメリットです。
さらに木の家を美しく長寿命にするためには、メンテナンス費用もかかります。
そのため同じローコスト住宅でも、人工的な材料の家と比べると、木の家の方が高くなるケースが多いでしょう。
使う木材のグレードや樹種、無垢材か集成材かによって、木の家の価格は大幅に変化します。
ハイコストな材料を使うときは、使う部分を限定して、メリハリあるプランニングをするのがおすすめです。
木によって品質に差が出る
木の家を建てることのデメリットの1つに、木材の樹種や部位によって、家の品質に差が出ることがあります。
木の家に使われる木材は自然のものなので、同じ樹種でも個体差があります。
さらに木は、木材として加工されたあとも、膨張・収縮により変形してく性質があります。
その木材が数年後どのように変化するのか、予測する必要もあるのです。
そのため木の扱いに慣れ、木の性質をよく知った職人による施工でないと、家の完成には不安が残るでしょう。
一方、工場生産の人工的材料で建てる家は、職人の技術による完成度の違いが出にくいとされます。
シロアリ対策やメンテナンスが必須
木造住宅の天敵、シロアリへの対策は木の家にも必須です。
木材の調湿効果により、湿度が一定に保たれるといっても、シロアリ対策は必ずしましょう。
床下の換気がよくなる構造にする、薬剤散布など、家の施工時に対策してもらえるか確認することが大切です。
このように油断してはいけません。
シロアリ対策は義務ではないため、特別な対策をしていないメーカーもあるかもしれないのです。
また適切なメンテナンスは、どのような家にも必要ですが、もちろん木の家も同じです。
とくに外壁が木材なら、こまめなメンテナンスが大切です。
小さな傷から水分や汚れが入ってしまうと、外壁コーティングがされていても、劣化を早めてしまいます。
家の周囲にものを置かないようにして、目が行き届きやすくなる工夫をするのもおすすめです。
我が家は集成材の重量木骨
我が家は、重量木骨造の2階建てです。
木造なので家の躯体部分が木なのはもちろん、床材や造作家具など、随所に木材を使っています。
なお重量木骨の躯体には、集成材が使われます。
樹種の使い分けや、集成材についてご紹介するので、ぜひ参考にしてくださいね。
木材の種類を使い分けてコストダウン
使った部分 | 木材の種類 |
玄関・リビングの床 | 塗装ありのオーク |
二階フロア | 塗装無しのオーク |
階段 | 塗装ありのゴム集成材 |
造作の机 | 塗装ありのゴム集成材 |
オークは家づくりでポピュラーな樹種で、木目が美しくナチュラルな印象の木材です。
価格帯はスタンダードクラスですが、固くて傷がつくにくい特徴があります。
ちなみに床材は、塗装をするとその分価格は高くなります。
我が家では、いちばん目立つ玄関・リビングにグレーに塗装したオークを使いました。
階段も同じオークにするのが本来ですが、コストカットのためゴム集成材を塗装して施工しています。
このように、場所によって木材の種類を使い分けると、コストカットができるのでおすすめです。
見た目が不自然にならないか不安でしたが、問題ありませんでした。
フロアと階段は切り替わる場所なので、木材が変わっていても違和感がありません。
同じ色で塗装したことも、境目を隠すことにつながったのでしょう。
集成材と無垢材の感想
我が家が選んだ、重量木骨という構造の躯体部分には、集成材が使われます。
集成材は細かい木材を接着して作られており、接着剤が人体に与える影響(シックハウス症候群)を気にする方が少なくありません。
- 躯体部分に関しては、とくに感想はない
- 階段に使ったゴム集成材は、無垢と比較して冷たく固い印象
集成材で作られた家に暮らして、4年ほどたちました。
いまのところ、躯体が集成材であることで感じた問題はありません。
シックハウス症候群は、新築後1年ほどの期間でみられるものなので、我が家の場合は問題なかったということでしょう。
感じ方や症状には個人差があり、さらに使われる集成材によっても結果は変わります。
契約を検討中のメーカーの先輩施主の口コミは、参考資料としておすすめです。
- 素足で歩いても冷たくない
- 4年ほどでも無垢材の色が変化した
- 冬場は床材の隙間が広くなる
- オーク材の節目が割れやすく危険
我が家は躯体部分は集成材ですが、直接肌に触れる床材は無垢材を選んでいます。
木材は経年変化しますが、4年ほどでその変化が見られました。
すでに新築時より少し色が濃くなったように見えます。
我が家の床材はオークで、木目が目立つタイプの木材です。
その木目の数か所が、自然と割れてささくれだってしまいました。
自然のものなので、樹種や部位によっては、ケガにつながるような割れ方をすることもあります。
これは、木目が目立つ無垢材を床材にすることのリスクといえるでしょう。
重量木骨とは、集成材を使って建てられる木造の一種です。
集成材にすることで安定した強度を得ることができ、まるで重量鉄骨のような大開口のプランを実現できます。
まとめ
ハイコストなイメージのある木の家は、いくつかのポイントを押さえれば安くできるかもしれません。
いちばん大切なのは、木の家の施工事例が多く、経験豊富なメーカーを選ぶことです。
効率よく材料仕入れをするルートを持っている可能性が高いので、お得に木の家を建てやすくなるでしょう。
木の扱いに慣れた職人を、自社で雇っているかどうか確認するのもおすすめです。
家の施工はもちろん、アフターメンテナンスでも頼れるメーカーだと安心ですよ。