普通と何も変わらないが、低価格で家を建てられるローコスト住宅。
若い世代を中心に注目を集めていますね。
ですがこのローコスト住宅、耐震性は大丈夫なのでしょうか?
日本では地震が多いので、つい気になってしまうと思います。
今回はローコスト住宅でも安心して住める、耐震性の高い家を建てるには?という所に、焦点を当てて解説していきます。
この記事の目次
ローコスト住宅の耐震性は大丈夫?
アメリカやイギリスのような海外と比べると、その7倍は耐震性がある家が必要だと言われている日本。
ニュース何かを見ていても、明らかにアメリカなどより地震が多いのが分かりますよね。
ローコスト住宅は低価格で建てられるのが魅力です。
ですが反面、地震のような災害を考えた時に、ローコスト住宅でも地震に耐えられるか、不安に思ってしまうのは当然だと思います。
結論から言います。
ローコスト住宅の標準仕様でも、耐震性に問題はないです。
ローコスト住宅は家を建てるのに必要な、屋根材や床材といった「建材費」を安く抑えているから、低価格で提供が出来ているのです。
なのでローコスト住宅でも建築基準法がある限り、問題がないのです。
近年の地震の多さというのもあってか、実際にローコスト住宅でも震度6~7程度の地震には耐えられるようになっているのです。
ですが、いくら問題ないとはいっても安心しきれないのが今の日本です。
というのも昔に比べて、大規模な地震が頻発して起きているからです。
安心して安全に住める家にする為には、ローコストでも、より頑丈で耐震性が高い家にする事が大事になってくる訳です。
耐震等級に目を向ける
よくハウスメーカーのCMで「耐震等級3の家を建てるなら!」というのを聞きますよね。
この耐震等級という言葉。
よく耳にしますが、ローコスト住宅ではどのようになっているのでしょうか?
耐震等級とは「住宅性能表示制度」という制度の中にある物の1つです。
法律に基づいて「家の防犯面はどうか?」「住宅環境は?」など家の性能を評価します。
耐震面では「どの位の地震なら柱や基礎、壁が耐える事が出来るか?」を評価します。
この評価が3段階あり、大きい数字の方がより耐震性がある、と認められます。
これが耐震等級と呼ばれるものですね。
では次に3段階ある耐震等級がそれぞれ、どの位のレベルで地震に耐えられるかみていきましょう。
- 耐震等級1 震度6~7の地震に耐えられる程度。建築基準法で決められた耐震性を満たすレベル
- 耐震等級2 1の1.25倍の地震に耐えられる程度。病院や学校などの公共施設に求められるレベル
- 耐震等級3 震度6~7の地震でも損傷を受けない、軽い損傷のみで済む程度。警察署、消防署などの防災拠点となる施設に求められるレベル
となっています。
警察署や消防署と同レベルの耐震等級3がどの位強いかが分かりますね。
耐震等級3が1番耐震性があるので、ローコスト住宅でもぜひ耐震等級3を目指したいものです。
問題ありません。
最近は大きな地震が多いのもあってか、ローコスト住宅でもほぼ耐震等級2以上で建てるメーカーがほとんどです。
なので問題はないですが、メーカーとの打ち合わせの際に、耐震等級は3が良いという旨を伝えておくと安心出来ると思います。
耐震等級だけではなく「ガル」にも注目
ローコストで建てる時も、耐震等級3を目指しましょう、とは言いましたがそれだけでは中々安心しきれません。
というのも、耐震等級3と言ってもメーカーによって安全性が変わってきてしまうのです。
- 1つのメーカーは、耐震等級3ギリギリのラインで家を建てている
- もう1つのメーカーは、常に最高基準の耐震等級3を極めている
この2つを比べてみると分かりやすいと思います。
どちらの家に住みたいかと言われれば、大体の人が前者ではないでしょうか?
残念ながら実際に、メーカーによってこんな風に違いがあるので、耐震等級3というだけでは安心しきれないのです。
ではどうすればいいのか?
耐震等級3以外に注目してほしいのが「ガル」です。
ここからは「ガル」について解説していきます。
ガルとは
地震の単位は色んな種類があります。
皆さんがよく耳にするのは、「マグニチュード」ですね。
マグニチュードは地震の規模を表す単位で、「ガル」は地震の加速度を表す単位です。
ガルは1秒間に加速度が、どの位変化したかを表しているのです。
分かりやすく例えると、よくジェットコースターの急発進で体に衝撃が走った事があると思いますが、あれが加速度です。
地震が来た時に、この加速度を使って地震の大きさを調べるのが、ガルという訳です。
では、近年の大きな地震はどの位のガルだったかを見てみましょう。
- 阪神淡路大震災 約900ガル
- 新潟中越沖地震 約2000ガル
- 熊本地震 約1500ガル
- 東日本大震災 約3000ガル
数字だけ見てもどれも非常に大きな地震だった、という事が分かりますね。
これらの地震に耐えられる家でないと本当に安心できる、耐震に強い家とは言えないのです。
耐震等級+ガルで考える
では、ローコスト住宅で大きなガルにも耐えられる家を作るにはどうしたらいいのか?
ポイントは2つあります。
1つ目は、大手のハウスメーカーを選ぶ事です。
このガルを耐震の安全性として表示できるのは、大手のハウスメーカーしかないのです。
理由は、耐震専用の研究・実験施設がないと分からないからです。
この施設はコストが掛かるので、地元の小さい工務店などでは難しいのです。
2つ目は1000~1500ガル以上に耐えられるようにする事です。
- 耐震等級1 約400ガル程度に耐える事が可能
- 耐震等級2 1の1.25倍の約500ガルに耐える事が可能
- 耐震等級3 1の1.5倍の約600ガルに耐える事が可能
と耐震等級によって、どの程度のガルに耐えられるかが分かっています。
大きな地震や大震災のガルには、耐震等級3でも到底敵いそうもない事が、数字を見て分かります。
これが耐震等級3だけでは、耐震に強い家とは言えない理由になるのです。
なので耐震等級3に加え、1000~1500ガル以上に耐えられる家を目指すのが安心と言えます。
耐震だけではなく免震・制震を考える
耐震性を上げるには耐震等級3にしたり、1000~1500ガル以上に耐えられる家を建てる事が重要、という話をしました。
では、耐震性を上げる以外にはどんな事が出来るのでしょうか?
それは「免震」や「制震」を上げて、地震対策をする事です。
この言葉はよくチラシやモデルハウスなんかでも目にしますよね。
実は地震対策には3種類あり、それが「耐震」「免震」「制震」です。
では耐震とこの免震・制震は何が違うのでしょうか?
免震・制震とは
では最初に耐震・免震・制震のそれぞれの違いを見比べてみましょう。
- 耐震 地震の揺れに耐えるような構造。揺れに対抗する
- 免震 地震の揺れを特殊な装置を付ける事によって受け流す
- 制震 地震の揺れを「ダンパー」と呼ばれる装置で吸収する
ローコスト住宅を建てる時の地震対策と言ったら、耐震性を強くするのが一般的です。
免震・制震はより耐震性を高めたい時にプラスして使います。
免震・制震のそれぞれの設置費用をまとめてみました。
- 免震 1坪辺り約10万円
- 制震 約50~100万円
2種類とも高額なのが分かりますね。
免震装置は、基礎と家の間に取り付ける事によって揺れを伝えにくくします。
高層ビルなんかにも使われています。
また、この免震装置を取り付ける事が出来るのは新築に限ります。
なぜなら取り付ける場所が基礎と家の間だからです。
リフォームでは免震装置は付けられないのが注意点でもあります。
家を建てる時にオプションで付けるしか方法はないですが、付けてしまえばメンテナンスを除けば、大きな金額も掛かる事がないので安心出来ます。
制震装置は、柱などに特殊な器具を付けます。
免震装置より安価なイメージがありますね。
免震装置は手が届かないけど、これなら、という人も多くいます。
また、免震装置と違いリフォームで付ける事も出来ます。
なのでとりあえずは家を建てておいて、お金が溜まり次第、制振装置を取り付ける事も可能な訳です。
ローコスト住宅で耐震に強いハウスメーカー3選
では最後に、耐震に自信があるハウスメーカーを紹介します。
どのメーカーもローコスト住宅の実績も多数積んでいるので、ぜひ検討してみてくださいね。
一条工務店
広告は打たないで、ローコスト設計が叶う事で有名な一条工務店。
実は創業当時から、自社基準で研究を重ねている位、地震に対して力を入れているメーカーなのです。
専門の施設であらゆる地震波での耐震性を試しているので、どんな地震にも対応する事が出来ます。
また、施設上だけの研究にならないよう、毎年毎年繰り返し実験をしているのもポイントです。
そんな一条工務店は、耐震に強い家だけではなく、地震に強い地盤も大事だと考えています。
せっかく耐震がしっかりした家を建てても、その家が建つ地盤が弱いと倒壊したりする恐れがあります。
自社調査員がしっかりと安全な土地に家を建てられるように、地盤調査を行ってくれるので、そこも安心出来るポイントですね。
タマホーム
ローコスト住宅でも標準仕様で、耐震等級3の家を建てる事が出来るタマホームもおすすめです。
なぜ耐震等級3の家が建てられるのか?
それは独自の構造にあります。
高性能な通し柱を錆びにくい塗装をした金物で繋ぐ構造によって、耐震に強い家になります。
家の構造自体も、耐震に強いハイブリットな構造・工法になっているので、優秀だと思います。
また、タマホームも独自の実験施設を持っています。
そこで実験を重ね、震度7の地震でも倒壊・半壊しない家を目指しています。
クレバリーホーム
最後はクレバリーホームです。
耐震性を強くしたローコスト住宅を考えているのなら、クレバリーホームも検討したいメーカーです。
1・2階の頑丈な柱を通常の2~3倍に増やして、耐震に強い家を作っています。
それだけではなく、屋根や壁、基礎を面材で一体化している構造は地震のエネルギーを受け止めてくれるので、揺れを感じにくくなる効果もあります。
また、クレバリーホームは耐震だけではなく、制震にも対応しています。
自社開発の粘弾性ダンパーを使用した制震装置を、オプションで付ける事で地震の衝撃を吸収してくれます。
オプションにはなってしまいますが、耐震と制震の2重対策は確実に安心出来ると思います。
まとめ
- 耐震等級は3にする
- 1000~1500ガル以上に耐えれるようにする
- 金額と相談しながら、免震・制震も検討してみる
地震大国の日本で安心して長く住める家を建てるなら、耐震性を強くしておく事に越した事はありません。
それは安く建てられるローコスト住宅であろうと同じだと思います。
この記事で耐震性の知識を少しでも深めて、安全な家を手に入れてくださいね。