この記事では、和風の家を建てたいと考えている方に向けてお得な情報をご紹介します。
一般的に施工費が洋風の家より高くなるとされる和風の家を、安く建てられたらうれしいですよね。
一口に和風といってもさまざまなタイプがあるので、まずは理想とする和風が具体的にどのタイプなのか確認してからプランニングを始めることが大切です。
理想のテイストをご自分が把握しないまま見切り発車してしまうと、プランニング時に正確に希望を伝えられず困ったことになります。
この記事の目次
「和風の家」は和モダンがおすすめ
和風の家は日本人にとってなじみやすく、京都や奈良などの観光地では日本古来の建築物が人気を集めています。
しかしいくら観光地が魅力的とはいえ、実際にお寺のような純和風の家を希望する方は少ないでしょう。
実際に生活するとなると純和風の家は不便が多く、現代の生活に支障のあるケースも多いものです。
- 部屋の仕切りはふすまや障子なため空調効率が悪い
- 基本的に屋根は瓦なためコストがかかる
- 和室の仕上げ材にコストがかかる
- 和式トイレや在来工法の浴室などは暮らしに馴染まない
見るだけなら素敵な純和風の家ですが、建築すると純和風ならではのコストが発生し、水回りまで忠実に純和風にすることは理にかなっていないといえます。
そこでおすすめなのが、現代の暮らしに馴染む和モダンな家です。
和モダンな家とは、伝統的な和風をデザインとして取り入れ、現代の便利な生活ができるよう設計された家のことを指します。
和モダンとはおしゃれで便利な、理想的デザインといえるでしょう。
和モダンな家の特徴とは
人気SNSなどで注目されている、おしゃれで快適そうな和風の家のほとんどは、和モダンな家です。
そんな人気の和モダンの家には、具体的にどのような特徴があるのか見てみましょう。
格子がデザインに取り入れられる
和モダンの代表的な装飾とも言える格子は、ただそれを取り入れるだけで和モダンを表現できるほどのインパクトを与えます。
格子は中からは外がよく見え、反対に外から中の様子は見えにくい仕組みで、京町家で防犯のため取り入れられたことが始まりとされる建具の一種です。
このような歴史がある和風装飾だからこそ、外観デザインに格子を取り入れると効率的に和モダンを表現できるのです。
目立つ場所に丸窓が使われている
丸窓は和モダン建築によく見られる装飾窓です。
はめ殺しと呼ばれる開け閉めのできないタイプの窓で、光を取り入れるのには役立ちますが換気はできません。
丸窓を家の目立つ場所に施工すると大変目立ち家全体のテイストに影響を与えるため、家のテーマを効率よく表現してくれるでしょう。
京都の寺院、源光庵の丸窓は有名ですが、これは禅が深く関わわったデザインとされます。
このような背景からも丸窓には和を感じさせる要素が強いのですが、丸窓は現代アートのようなテイスト表現にも使われます。
外壁の雰囲気や丸窓の配置次第では、和モダンではなく現代アート風な家になってしまう可能性があるので、計画的にプランニングすることが重要といえます。
自然の素材やカラーが選ばれる
和モダンの家の外壁には白や黒、黄土色など、自然界にあるもののカラーの塗り壁や、板張りを選ぶとよく合います。
無垢の板張りなら自然な木の色を、焼杉を選択すれば深みある炭の黒を楽しむことができます。
塗り壁は職人の手作業で施工されるため、一般的なサイディングなどと比較すると割高になる傾向があり、さらに職人の技術によって完成度にムラがることにも注意が必要です。
一方板張りは、施工例をあまり見かけないため割高な印象がありますが、実はサイディングと費用は大差がないとされます。
板張りには思いのほかメリットが多いのでご紹介します。
- 施工費がサイディングとほぼ同じ
- 工夫次第で人工材質の外壁のようなメンテナンスなしで長期間過ごせる
- 人工材質の外壁のように廃盤にならない
板張りの外壁は家の周囲に風通しを確保する、雨があたりすぎないよう庇をしっかり作るなどの工夫をすれば、人工材質の外壁のような大規模なメンテナンスをしなくても長期間過ごせるとされます。
劣化した部分のみ補修が必要になる場合はありますが、大きくランニングコストがかかる心配が少ないのです。
また自然の木が廃盤になったりはしないので、いつまでも同じ材料で補修して大切に手入れすることができるのも魅力といえるでしょう。
木の特性として経年変化がありますが、変化によってむしろ家に風格が出ると評価するのが日本建築の古くからの考え方とされます。
しかし板張りの家は経年変化を含め独特な特徴があるため、好みがわかれます。
板張りだと個性が出すぎる場合は、ガルバリウム鋼板の外壁もおすすめです。
焼杉の外壁を思わせる黒など、シックなカラーを選ぶとスタイリッシュな和モダンが演出できます。
照明計画が工夫されている
和モダンの家の美しい特徴の1つに照明計画が挙げられます。
格子から漏れる優しい電球色の光は京町家を思わせ、和紙を通した柔らかい光に照らされた和室には茶室のような魅力があります。
外からの見せ方にこだわった照明計画をすると、ワンランク上の和モダンデザインが実現できるでしょう。
内装の照明は光源を見せない工夫をすると、和モダンの雰囲気を効果的に演出できます。
和風の家にはコストがかかる
和風の家は洋風の家よりコストがかるとされますが、それは熟練された職人の技術が必要な施工が多いこと、仕上げ材などをはじめ材料費にコストがかかることが主な理由です。
外観に塗り壁や瓦を選ぶと、職人の手間が増えるためコストアップとなり、きちんとした和室を施工するために白木を使用すれば材料費が高くなります。
さらに畳はデリケートでメンテナンスが必要な床材であるため、取り入れれば初期費用に加えランニングコストがかかります。
ローコスト住宅を和風にするコツ
何かとコストがかかる和風の家をお得に建てるなら、ローコスト住宅で家を建てるのがおすすめの方法です。
ローコスト住宅といえば、こじんまりした洋風の家が多い印象ですが、和モダンな家を建てることもできるのです。
以下ではローコスト住宅で和モダンの特徴を取り入れた家を建てるコツをご紹介します。
家の基本デザインはシンプルにする
家を効率よくローコストにするための方法として、家の外観や間取りをシンプルすることがあります。
純和風の家によく見られる入母屋(いりもや)屋根などは複雑な構造のためコストがかかります。
しかし和モダンなら片流れ屋根のようなシンプルな構造の屋根でも違和感がないため、ローコストにしやすいといえます。
さらに間取りをシンプルにするためのコツとして、空調効率を下げない程度に家の仕切りを少なくすることがあります。
純和風の家には各部屋に押入れ収納があることが一般的ですが、各部屋に収納スペースを作ると仕切りが多くなり扉などの建具も多く必要になります。
和モダンな家なら収納スペースを1か所集中タイプにして仕切りや建具を節約し、ローコストを実現するのもおすすめです。
和風施工は取り入れる場所を絞る
和風施工はコストがかかるものが多いため、取り入れる場所を絞るのがローコストに和モダンの家を建てるためのコツです。
多くの和モダン要素を中途半端に取り入れるより、厳選した要素にコストを集中させた方が、お得なうえにおしゃれな和モダンが実現しやすくなります。
和テイストがしつこくならないよう工夫することも、和モダンの家をおしゃれにするための大切なポイントです。
家の基本性能に関係ない設備グレードを下げる
家の基本性能とは耐震性や断熱性、気密性などを指しますが、これらに関わりのない設備のグレードを調節してコストカットすることがお得に和モダンの家を建てるためのコツです。
節約した費用を和風施工にかかるコストに充てましょう。
玄関ドアのロック機能やインターホン、浴室乾燥機などのグレードは、室内環境や安全性へ影響しないのでできるだけ低いものを選ぶのがおすすめです。
室内環境を快適にするためには外気からの影響をできる限り遮ることが大切で、そのためには高気密・高断熱が守られた家であることが大切です。
さらにサッシの性能もよくすれば室内の快適な温度が保ちやすくなるため、空調効率がよくなりカビの発生も防げます。
快適な暮らしができる家は、省エネなだけでなく長寿命な家にすることにつながるため疎かにしてはいけません。
照明計画は置き型器具で対応する
置き型の照明器具を取り入れて間接照明にするのは、ローコスト住宅で和モダンな家を実現するためのコツです。
内装工事が必要な間接照明には施工費がかかるため、最小限にとどめるのがおすすめです。
リビングや玄関など、より多くの人の目につく場所にだけ間接照明の施工を行うとコストが抑えられます。
低い位置に間接照明があると雰囲気ある和モダンを表現できるため、むしろ置き型の和風照明器具を選んだほうが効果的な場合もあるでしょう。
和風インテリアを家具で実現する
掘りごたつや小上がりは和風インテリアによく取り入れられる施工です。
これらを造作工事せずに、既製品のユニット家具を購入して設置すると大幅なコストカットにつながります。
造作工事をすると、例えば収納付きの小上がりの場合一般的に40万円程度、掘りごたつは60万円程度の費用がかかるとされ、どちらも大きさや材質次第でさらに高額になります。
ユニット家具なら造作工事の3分の1程度の費用に抑えられることが期待できるでしょう。
ローコスト住宅メーカー選びのポイント
和モダンな家をローコスト住宅で建てる場合、どのようなメーカーに依頼するのがよいのでしょうか。
気を付けるべきポイントをご紹介するので、メーカー探しの参考にしてくださいね。
和モダンの施工事例が多いメーカーを選ぶ
ローコスト住宅メーカーにはそれぞれ得意分野があるため、和モダンな家が希望の場合はその施工事例が多いメーカーを選ぶと安心です。
和モダンなデザインに慣れていれば、効果的な和モダンの表現方法を提案してもらえたり、特殊な施工に対応してもらいやすくなる可能性があります。
また施工例が多ければ、そのメーカーがどのような家を建てるのか確認しやすくなり、「思っていたのと違う」といった事態が避けられるケースもあるでしょう。
信頼できるコストカット方法をしているメーカーを選ぶ
まず、優良なローコスト住宅メーカーのコストカット方法を見てみましょう。
- デザインや間取りなどの選択肢を絞って打合せを簡略化し人件費をカット
- 同じ材料をまとめて仕入れることでコストカット
- 設備の初期設定を低くしてコストカット
- モデルハウスなどを最小限にしてコストカット
これらの方法ではなく、粗悪な材料を使用していたり、適切なアフターメンテナンスが行われていなかったりといった方法でコストカットをしているようなメーカーは避ける必要があります。
判断材料として、そのメーカーで実際に家を建てた施主の口コミを活用するのがおすすめです。
メーカーは自らマイナスになるような情報発信はしないため、メーカーのセールスだけを鵜呑みにしてはいけません。
和風の家を目指して家を新築した我が家の話
我が家は4年前、注文住宅で自宅を新築しました。
完成した家のテイストは「シンプルモダン和テイスト」です。
実はプランニングを始める前、かなり和風要素が強い家を考えていたのですが、いろいろ研究するうちに考えを改めたのでした。
その経緯を以下でご紹介します。
和風施工は和のテイストが強くなりすぎることもある
我が家はプランニング初期、古い町並みのような場所に建てられた日本家屋を参考に和風の家を建てたいと考えていました。
しかし購入する土地が決まってその地域に行ってみると、和風要素が強い和モダンな家を建てるのことに違和感を感じたのです。
和風要素が強い家の施工費は高額になるだけでなく、かなり主張が強くなる特徴があります。
そして我が家が行き着いた結論は、家全体のデザインをシンプルモダンにするというものです。
そうすることで地域に馴染む家になり、さらに施工費も大幅にカットすることに成功しました。
基本がシンプルモダンだと和テイストの加減を施工後に微調整でき、さらに北欧テイストやフレンチテイストなどへの大幅な変更も手軽にできます。
植栽や塀で和風を表現する
家の施工で和モダンを表現したのは、外壁の色に黒を選んだ点と、庇や玄関ドアに木の色を選んだ点です。
それ以外はごくシンプルなデザインで、屋根は片流れでガルバリウム鋼板です。
そのようなシンプルモダンの家に、和風の植栽をしたり和風の塀を外構工事することで和テイストをプラスしました。
和風の塀の施工位置は家の正面から見えない家の脇ですが、室内からはよく見えます。
その近くに和風の屋外用照明器具を合わせて設置し、その景色を室内から眺められるよう設計したのです。
近隣の環境とはまったくテイストの違う和モダンな景色は、家の中からだけ眺められるので、周囲に違和感を与えません。
まとめ
デザインの表現に正解はなく、だからこそそれを表現することは難しいものです。
それが家となれば規模も大きく、失敗はできません。
表現したいテイストを表す施工はワンポイント程度に抑え、それ以外は後付けで表現するとコストカットできるうえにテイストの微調整ができるのでおすすめです。
しっかりテイストが作り込まれた家の修正は簡単にはできないため、デザインは足し算方式にすると失敗が減らせるでしょう。