家の品質の高さが公的に認定された長期優良住宅を、ローコスト住宅で実現するためのポイントをこの記事では紹介します。
高品質な家はそれなりの費用をかけるから建てられるもの、と一般的には考えられがちですが、諦めてはいけません。
上手なローコスト住宅メーカー探しをして、依頼方法を工夫すれば、ローコスト住宅かつ長期優良住宅の家が建てられる可能性があるのです。
この記事の目次
長期優良住宅はどの部分に費用がかかるか
長期優良住宅とは、長期間安全・快適に暮らせる家であることを国が認定した家を指しますが、そのためにはいくつかの基準を満たす必要があります。
長期間安全・快適に暮らせる家が魅力的であることは確かですが、何かと手間や費用がかかるのが長期優良住宅のデメリットといえます。
まず長期優良住宅にするためには、どのような部分に費用がかかるのか確認してみましょう。
設備などのグレードアップが必要な場合がある
長期優良住宅は長期間安全・快適に暮らせることを目的としているため、耐震性能や耐久性能、断熱性能を高くすることとされています。
長期優良住宅制度の基準は高く設定されているため、ローコスト住宅の標準仕様のままでは、基準を満たせない可能性があります。
ローコスト住宅は建築基準法を満たしますが、それを上回る性能が満たされなければ長期優良住宅制度の基準は満たせません。
結果的に設備などのグレードアップが必要になり、コストが余分にかかることになるでしょう。
耐震性能の具体的な基準は、耐震等級2以上、免震建築物であることなど細かい条件が設定されています。
災害発生時の避難場所に指定される、学校や病院などなどの建物に必要とされる耐震強度です。震度6強~7の地震に被災しても、ある程度の補修をすれば住み続けられるレベルとされます。
震度6強~7の地震はごくまれに発生する規模の巨大地震です。
耐震等級2の建物はそれに被災しても暮らすことができ、または損傷しても修繕すれば暮らせる程度で済むよう工夫されていることが求められます。
長期優良住宅制度の基準は、その耐震等級2以上を満たす必要があるため厳しいものといえますね。
また省エネルギー性を高くすることも長期優良住宅制度の基準に入っているため、断熱性能を良くしてエアコンなどにかかるエネルギーを小さく抑える工夫をする必要もあります。
長期優良住宅の申請費用がかかる
長期優良住宅であると国に認定してもらうには、まず審査を申請する必要があります。
この申請に関わる一連の手続きはメーカーに代行してもらうと、30万円程の費用がかかるとされます。
申請とは具体的にどのようなことをするのでしょうか。
- 申請に関する多くの建築資料を間違いなくそろえる
- 適切なタイミングで申請する
- 登録住宅性能評価機関による審査を受けて適合証を交付してもらう
- 所轄行政庁に認定の申請をして認定通知書の交付を受ける
まず長期優良住宅申請の重要なポイントとして、申請のタイミングは家の着工前に行う必要がある点が挙げられます。
タイミングを逃すと、基本的に長期優良住宅の認定が受けられなくなるので注意が必要です。
この一連の申請は、メーカーに代行してもらうのが一般的ですが、自分で行うことで手数料を節約する方法がないわけではありません。
しかし建築に関する多くの資料を間違いなくそろえ、着工前に提出することは一般の方にとって簡単ではありません。
しかも、評価機関から指摘が返ってきた場合に対応が必要になるケースもあるので、メーカーに申請代行をしてもらうことを強くおすすめします。
定期的な点検にランニングコストがかかる
長期優良住宅の特徴に、家が完成した後もずっと適切な管理が求められるというものがあります。
長期的に安全・快適な状態を保つため、定期的な点検や必要箇所の修繕が必要となり、ランニングコストがかかるのです。
水回りの給排水配管などは、少なくとも10年に1度の点検が必要とされますが、これは家より耐用年数が短い水回りを適切に管理することが目的です。
給排水配管の点検をスムーズにするため、長期優良住宅制度の基準には、家に維持管理・更新の容易性を求める項目もあります。
なお、これらの点検は長期優良住宅の申請を行う際に提出する、維持保全計画と呼ばれる計画に従って行われます。
つまり維持保全計画は公的機関からも管理されているということで、検査内容について行政機関から報告を求められる場合もあるので疎かにできません。
計画どおりに点検が行われない場合、せっかく認定された長期優良住宅が取り消しとなり、保険料割引やその他の優遇が受けられなくなるので注意が必要です。
ローコスト住宅かつ長期優良住宅を建てるためのポイント
長期優良住宅に認定されるために、避けることが難しいコストアップポイントがあることがわかりました。
コストアップした分をカバーしつつ、ローコストを実現するためには、コストカットできる部分は徹底的にコストカットする必要があります。
長期優良住宅に認定されるための基準に影響を与えず、効率よくコストカットできる部分はどこなのか解説します。
家のつくりをシンプルにする
屋根を片流れ型にすること、家全体の形をキュービック状のシンプルなものにすることなどは、効率よく家をローコストにする方法として知られます。
コの字型やロの字型の家は外壁の面積が大きくなり、手間や材料が余分にかかるためコストが高くなるのです。
片流れの屋根がローコストな理由もこれと同じです。
また家の外観だけでなく、内部の間取りもシンプルにすることでコストカットができます。
廊下が必要ない間取りは廊下分の施工費をカットでき、部屋数を抑えた間取りは壁を減らせるため施工費がカットできます。
さらに部屋数が少なければドアなどの建具も少なく済むため、その分の費用も節約できるでしょう。
設備仕様にメリハリをつける
耐震性能や耐熱性能に関係のない部分の設備仕様は、極力低く抑えることでローコストが実現しやすくなります。
ローコスト住宅の場合、初めから設備仕様が低く設定されている場合が多いですが、それより低い仕様を積極的に選択することでメリハリがつけられます。
しかし極端に低くしすぎることで生活に支障が出ては不便なので、低くしても支障ないとしっかり納得できる部分を選びましょう。
例えば、インターホンや浴室乾燥機などは低いグレードでも十分に機能を果たす可能性が高い部分といえます。
収納スペースを工夫する
収納スペースを1か所集中タイプにする方法は、ローコストを実現するために有効です。
各部屋にクローゼットや押し入れなどの収納を作ると、その分ドアや壁などの施工費や材料費が高くなります。
大きな収納スペースが家に1つなら、施工費や材料費を抑えられるためローコストにつながるというわけです。
小規模な収納が必要な部屋には、オープンタイプの棚を活用する方法もあります。
オープンタイプならドアの施工をしないので施工費の節約になり、しかも閉塞感を与えないためスペースを広く見せる効果もあります。
ドアのない収納は出し入れの際にストレスが少ないので、よく使う収納であればむしろメリットとして感じられるでしょう。
長期優良住宅に慣れたローコスト住宅メーカー選びが重要!
ローコスト住宅かつ長期優良住宅を実現するためには、一般的なローコスト住宅を建てる場合よりさらにメリハリある節約が必要であることがわかりました。
自分で努力するだけでは対応できない部分が多いので、ローコスト住宅メーカー選びにも工夫が必要です。
メーカーにはそれぞれ得意分野があるので、長期優良住宅の家を建てるならそれに慣れたメーカーを選ぶことが重要です。
長期優良住宅に慣れたメーカーを選ぶと、具体的にどのようなメリットがあるのか見てみましょう。
メリット①ローコスト住宅かつ長期優良住宅が実現しやすい
- 間取りやデザインをパターン化して節約
- 同じ材料をまとめて仕入れることで節約
- 選択肢が限られることで打合せを簡略化して人件費を節約
- 広告やモデルハウスをカットして節約
以上のような方法で優良なローコスト住宅メーカーはローコストを実現しています。
つまり優良メーカーで、さらに長期優良住宅に標準対応していれば、効率よくローコスト住宅かつ長期優良住宅を実現しやすいというわけです。
長期優良住宅の認定基準を満たす材料や設備を、基本的なローコストノウハウにより仕入れることができるでしょう。
作業効率よく長期優良住宅の家づくりを手掛けるメーカーを見つけることが大切ということですね。
メリット②安心して任せられる
長期優良住宅に慣れているローコスト住宅メーカーなら、滞りなく設計や手続きを進められる可能性が高いといえます。
この制度の認定基準は複雑で、しかも複数あるためしっかり把握して設計していく必要があります。
着工する前に長期優良住宅の審査が必要なので、基準を満たさないまま建てられることは考えにくいですが、手直しが多いと膨大な時間のロスとなる可能性が高いでしょう。
特にローコスト住宅メーカーは人件費削減のため、ぎりぎりのスタッフ数で対応しているところも多いので、慣れない案件の対応は難しい部分も多くなります。
また長期優良住宅に慣れていないメーカーだと手続きにも不慣れで、着工前に必要な審査申請をしないまま過ぎてしまう危険もあり得ます。
そのような失敗のせいで認定が受けられなかった、という口コミは実在するので油断できません。
長期優良住宅の審査申請に慣れていない一般の方がしっかり管理して、メーカーに働きかけるのは難しいので、安心して任せられるメーカーに依頼するのがおすすめです。
長期優良住宅にするメリット
ローコスト住宅かつ長期優良住宅を実現するためには、メーカー選びにはじまり様々な工夫が必要なことがわかりました。
削減できる部分は極限まで削ってプランニングをして、長期優良住宅にかかる費用に充てるイメージですね。
プランニングではコストカットのため我慢する部分が多くなり、長期優良住宅の必要性に悩みが出るかもしれません。
長期優良住宅のメリットを再確認してみましょう。
税金や保険料で得をする
長期優良住宅で家を建てると、住宅ローン控除の優遇や、不動産取得税・固定資産税の減税、保険料の割引など様々な面でメリットがあります。
長期優良住宅の認定を受けるためにかかった費用は、これらのメリットを享受するための投資と考えることもできますね。
快適である
経済的に得することも大切ですが、家は長期間生活する場であるため快適性は最優先されるものではないでしょうか。
耐震性や断熱性の性能を良くすることに費用がかかることは確かですが、そうすることは快適な生活に直結します。
長期優良住宅は、公的な機関から快適な家であることを客観的に評価されているので、より安心感があるでしょう。
家を手放すときも得
長期優良住宅なら、一般的な家より良い条件で売却できるとされます。
戸建ての賃貸として活用する道もあるでしょう。
長期優良住宅にこのような選択肢があるのは、公的な機関から長期間安全・快適に暮らせることを認定されているためです。
長期間住むことを想定して長期優良住宅を選ぶのが当然ですが、ずっと先の予定は決まっているようで決まっていないものです。
世代交代の際、住み続ける人がいなくなり家を手放すことになる、急な生活の変化で居住地を変えることになるなど、何が起こるかわかりません。
どうなるかわからない家のために長期優良住宅の認定を受けるのはもったいないと考えるのではなく、わからないからこそ認定を受けて使い回しが利くようにしておく、というのも1つの考え方ですね。
まとめ
快適で丈夫な家を建て、長期間大切に手入れすることで、その家に長く住むことを目的にしたのが長期優良住宅です。
そうすることで家の建て替えで発生する廃材が減り、さらに建て替えにかかる家主の費用負担を軽くする効果を見込んでいます。
長期優良住宅は建て替え機会が少ないエコな家ともいえるので、国としても長期優良住宅で家を建ててほしいのです。
そのため様々な優遇をして、長期優良住宅の家を建てることを推奨しています。
快適な家を大切に手入れしながらエコに暮らす、というのは誰にとってもメリットの大きなものですね。
このようにメリットの多い長期優良住宅をローコストに建てるため、信頼できるメーカーと協力してプランニングするのがおすすめです。