コミコミという言葉に安心して、飛びつく前に…
それは本当に「家づくり全体の」総額でしょうか。
どこまでを含んだ金額なのか、よく確認することが大切です。
そしてあまりにも本体価格が安いメーカーにも注意が必要です。
破格の家には、それなりの理由があると考えましょう。
- 家づくりの費用項目とは?
- ローコスト住宅と一般的な住宅の違いとは?
この記事の目次
「コミコミ」は家づくりの総額とは限らない
コミコミ価格を払えば家が完成する、とは限りません。
家づくりにはいくつかの費用項目がありますが、コミコミにそれらが盛り込まれているかを確認することが大切です。
内容によっては、暮らせる家が建つコミコミ価格のこともあるでしょう。
まずは家づくりの費用項目をご紹介するので、「コミコミ」内容のご確認にぜひお役立てください。
家づくりの費用項目とは?
家の建築費用を用意するだけでは、家づくりはできません。
それでは、家づくりにかかる費用項目にはどのようなものがあるのか確認してみましょう。
土地代
家を建てるための土地がない場合、まずは土地を買わなくてはいけません。
家づくりに関する費用はできるだけ安くしたいところですが、このような考え方は危険です。
土地価格はエリアによって相場があり、それより大幅に安い土地にはなにか欠点があることが多いからです。
- 狭い道路に接している土地
- 造成が必要な土地
- 旗竿地
- 建物が建てられない土地
例えば狭い道路に接している土地は、一部を道路として負担しなくては建物が建てられません。
これは4mより道幅が狭い道路を、将来的になくすために決められたルールです。
これから家を建てるなら、土地の一部を道路として残して、前面道路が将来的に広くなるよう協力しなくてはなりません。
このように狭い道路に接している土地には、土地を100%利用できない欠点があります。
さらに前面道路が狭い影響で、工事車両が乗り入れできず、施工の手間が増えることもあります。
これらの理由のため、狭い道路に接している土地は相場より安い、と考える必要があるでしょう。
土地の欠点はカバーできることが多いですが、そのために費用が余分にかかります。
安く買っても、結果的に相場価格で買うのとあまり変わらない金額がかかるかもしれません。
場合によっては、相場より高くなってしまうこともあるのでご注意ください。
相場に近い価格の整形地(長方形や正方形)なら、余分な費用が必要になるリスクを減らせます。
予定外の出費が増える可能性を減らせるのは安心ですね。
家本体の建築費用
ローコスト住宅の建築費は、坪単価約40万円が平均的な価格です。
仮に30坪の家を建てるなら、約1,200万円が相場ということになります。
家の構造には、木造・鉄骨造・鉄筋コンクリート造がありますが、坪単価約40万円はいちばん一般的である木造であると考えられます。
建築費は木造がいちばん安くなりやすく、次に鉄骨造、鉄筋コンクリート造の順に高くなっていきます。
ちなみに、鉄骨造には軽量鉄骨と重量鉄骨があり、軽量鉄骨はより安く建築しやすい鉄骨造とされます。
まずは木造30坪なら約1,200万円という相場をつかみ、構造を変えるとどれくらい高くなるか…
といった比較をして検討するのがおすすめです。
外構・付帯工事費用
家の建築費 × 2割
家の建築費が1,200万円なら、付帯工事に240万円用意する計算になりますね。
なお、2割のうち1割は外構費用とする費用バランスが一般的です。
目安より安すぎる外構にすると、家とのバランスが悪くなってしまいます。
反対に外構にこだわりの部分がある場合は、建築費の1割プラスアルファで資金を用意しておきましょう。
ちなみに費用を抑えやすい外構のタイプはオープン外構です。
道路から家が見えやすく、解放感を感じやすいことが特徴です。
しっかり囲われたクローズ外構は高くなりやすいので、建築費の1割より多めの資金計画にしましょう。
- 給排水管工事
- エアコン工事
- 照明器具など
外構以外に必要な付帯工事は、新居のライフラインにかかわるものです。
照明器具などを施主支給にして費用を抑える方法もあります。
諸費用
家づくりには「ちょっとした出費」が多く、それらを諸費用と考えます。
例えば家の購入には、税金やローン手数料などが必要です。
家購入は金額が大きいので、これら諸費用は小さくありません。
また、新しく建てた家への引っ越し費用や、引っ越し挨拶の手土産なども諸費用に入ります。
土地によっては必要な項目
買った土地によっては、追加で費用が必要になるケースもあります。
- 傾斜地は造成工事が必要なこともある
- 地盤が軟弱で補強工事が必要なこともある
- 古家付き土地なら解体が必要
追加費用が必要な土地は、そのエリアの相場より安い価格設定になっていることが多いものです。
のちのち費用がかかることが明らかなのに、相場と同じ価格では買い手が付きにくくなるためでしょう。
しかし地盤については調査するまでわからないこともあります。
いざ家を建てようと地盤調査をしたら、軟弱であることがわかることもあるのです。
なお重量鉄骨や鉄筋コンクリート造の家は、自重が重いため、地盤改良工事が必要になることが多いとされます。
土地購入前に、工務店に近隣の地盤について調べてもらいました。
近隣土地の調査実績を参考に、購入予定の土地の安全性を見積もることができます。
ローコスト住宅と一般的住宅を比較
お得に家を建てたい方にとって、ローコスト住宅の存在は気になるものですよね。
しかし家は大きな買い物なので、理由もわからず安いのは不安なものです。
ローコスト住宅と一般的な住宅を比較しながら、その特徴を見てみましょう。
目安の建築費を比較
- ローコスト住宅の坪単価は約40万円
- 一般的住宅の坪単価は約60万円
ローコスト住宅が一般的住宅と比べて、どのくらい安くなる可能性があるのかがわかりますね。
30坪の家を建てるなら、ローコスト住宅の方が600万円も安くできることになります。
優良なローコスト住宅はここが違う
ローコスト住宅なら、お得な家づくりがしやすいことがわかりました。
優良なローコスト住宅の、具体的なコストカット方法をみてみましょう。
- 規格住宅を中心に取り扱っているため
- 材料の仕入れ効率をよくして価格を抑えているため
- モデルハウスなど宣伝費用をカットしているため
ローコスト住宅は、規格住宅を中心に取り扱うことで安さを実現しています。
規格住宅にすることで、家づくりに関する選択肢を少なくできます。
そのため打ち合わせをシンプルにでき、人件費をカットすることにつながるのです。
さらに家づくりに使う材料もパターン化されるため、一度に同じ材料を大量仕入れできます。
仕入れ効率がよいと単価を下げられるため、結果的に安い家づくりを実現できるというからくりです。
超ローコストな価格設定のメーカーには注意!
平均的な坪単価より、大幅に安い価格設定のハウスメーカーには注意が必要です。
このような住宅は、超ローコスト住宅と呼ばれるのが一般的です。
- 家の基本性能が低い
- 少しのグレードアップでも高額なオプション料金がかかる
- アフターサービスに不安がある
家の基本性能が低いリスクは、家を建てたあとのランニングコストに影響します。
気密性や断熱性が低いと空調効率が悪くなり、光熱費がかさんでしまうのです。
それを回避するなら、基本性能のグレードアップがおすすめです。
しかし超ローコスト住宅は、少しの変更でも高額なオプション料金がかかることがあります。
超ローコスト住宅は、規格のまま変更なく建てる場合の価格設定であると考えておくと、失敗が減るでしょう。
建築費用を抑えるポイント
家づくりにも相場はありますが、それでもできるだけローコストに家づくりをしたいですよね。
しかし家の性能は下げたくありません。
そこで、安全にローコストを実現するためのコツをご紹介します。
メーカーの規格商品から選ぶ
ローコスト住宅は、規格商品から選択して家づくりをすると安くしやすくなります。
決まったパターンに沿って家づくりをすることで、手間を減らしたり、材料費を安くしたりできるためです。
反対に、オリジナルの変更をするほど建築費は割高になります。
変更部分を減らすためのコツは、好みのテイストの施工事例が多いメーカーを選ぶことです。
最初から好みの規格商品ができあがっているなら、自然と変更部分を減らすことにつながるでしょう。
ローコスト住宅は、規格の範囲でカスタマイズしてプランニングするのが基本です。
そのなかに好みのテイストがあれば、オリジナルの変更なしで済み、予算内に収まる可能性が高くなるでしょう。
メーカー選びでは、優良なメーカーであることの他に、施工事例にも注目するのがおすすめです。
シンプルな形の家を目指す
- 屋根の形は「片流れ屋根」や「切妻屋根」
- 外壁に凹凸がない
- 総二階建てである
家の外観をシンプルにすると、建築費を抑えやすくなります。
施工の手間が減るので工期が短くなり、人件費もカットしやすくなるためです。
「片流れ屋根」は1枚の屋根が斜めになった屋根、「切妻屋根」は2枚の屋根が合わさった三角屋根を指します。
サイコロのような家に片流れ屋根や切妻屋根を合わせた外観の家は、ローコストにしやすいのです。
- 水回りを集中させる
- 廊下を作らない
- 扉付きの収納を少なくする
間取りプランニングのコツも、手間を最小限にすることを目的としたものばかりです。
例えば水回りを集中させることは、配管工事の手間を最小限にすることにつながります。
収納の扉を減らすことも、材料費や手間の節約につながるのです。
特殊な施工を希望するなら実績あるメーカーを選ぶ
地下室や屋上などは、特殊な工程が発生するため特殊な施工といえます。
特殊な施工は、それらの施工事例が豊富なメーカーに依頼すると、ローコストに施工できることがあります。
一般的には特殊とされる施工でも、多く施工しているメーカーなら規格として取り扱っていることもあるためです。
規格化されていれば、材料の仕入れ効率をよくできるので、安くできるからくりです。
特殊な施工の希望をメーカー探しの前に固めておくと、安く実現できるかもしれません。
我が家が家づくりで予算オーバーした話
家づくりで予算オーバーしないためのポイントは、「最小限からスタートして、余裕があったら足し算する」です。
我が家は家のプランニングで、このポイントを守らなかったために予算オーバーしてしまいました。
我が家のプランニングの進め方は、以下のとおりです。
- 「とりあえず」家の形をプランニング
- 「とりあえず」ほしい設備を盛り込んでプランニング
- 「とりあえず」内装グレードは標準でプランニング
「とりあえず」プランニングを進めて、あとで予算を削ろうとしたことが、予算オーバーの理由です。
一度プランニングしたことをあとから変更するのは、かなり難しいものでした。
例えば外観を変更すれば、プランニングを白紙に戻すことに近くなります。
プランニングの後半までたどり着いたころに、白紙に戻す体力や時間は残っていないのが現実です。
これから家のプランニングをする方には、足し算方式をおすすめします。
まとめ
家づくりは安くしたいものですが、相場は大切な目安です。
極端に安いものには、それなりの理由があると考えましょう。
とくに家は大きな買い物なので、安すぎる買い物は危険です。
建築費は安くても、長期的に高額なランニングコストがかかり続けることになるかもしれません。
ローコスト住宅メーカーを選ぶときは、誠実な理由でローコストを実現しているか、よく確認してくださいね。