家作りを始めるとメーカーや工務店から様々な書類を渡されますよね。
その量に思わず絶句してしまう…なんて人も多いのではないでしょうか?
また、建築関係の書類というのは記載されている内容も難しいものが多いです。
今回はそんな書類の中でも難しいとされる
- 注文書(請負契約書)
- 見積もり書
について紹介していきます。
どちらの書類も難しいですが、家作りには欠かせない大事な書類です。
しっかりと理解できるようにマスターしましょう。
この記事の目次
注文住宅の見積もり書とは
まず最初に見積もり書から解説していきます。
見積もり書とは家を建てるのに掛かる金額が全て記載された書類の事です。
金額の他にも
- 床や建具の素材
- 外壁はどんなものを使うか?
- どんな設備を付けてあるか?またその設備はどのグレードか?
などの仕様が細かく記載されています。
注文住宅の見積もり書をもらうタイミング
この見積もり書をもらうタイミングは実は大きく分けて2回あるのです。
それは
- 複数の施工会社を比較したい時にもらう
- どんな家にするか?をメーカーや工務店と何回か打ち合わせをした後に最終見積もりとしてもらう
です。
それぞれの見積もり書にもちゃんと呼び名があります。
それぞれを
- 概算見積もり書
- 詳細見積もり書、最終見積もり書
と言います。
メーカーや工務店と話をする時によく使われれるので覚えておきましょう。
ではここからは概算見積もり書、最終見積もり書に分けて詳しく説明していきます。
概算見積もり書とは
概算見積もり書とは先ほども説明した通りに複数の施工会社を比較する為の見積もり書です。
この複数社に概算見積もり書をお願いする事を「相見積もり」と言います。
なぜこの相見積もりをするのかというと
- 自分たちが理想とする、住みたい家がより叶う会社が見つかる
- 適正価格で家作りができる
の2点があります。
特に「適正価格で家作りができる」というのは重要です。
1社だけの概算見積もり書だと、それが自分たちが理想とする家作りが出来ても、金額的に高い家になってしまう可能性があるのです。
人生において1番高い買い物といっても過言ではない家はなるべく安く抑えておきたいものですよね。
なので、適正価格が分かるように相見積もりが必要なのです。
また相見積もりをする時は同じ間取り・同じ工法で出してもらうのがベストです。
なぜなら、同じ間取り・工法で出してもらうと値段が比べやすいからです。
ハウスメーカーや工務店によって細かな間取り・工法の違いはあるので、ぴったり一緒という訳にはいきませんがそれでもある程度揃っていると見比べやすいです。
また、相見積もりをもらう時は「どんな家に住みたいのか?」を想像しながら、イメージをメーカーや工務店に伝えましょう。
- キッチンの形状はどんなものが良いか?
- 吹き抜けは作るか?
- 部屋数はいくつにするか?
- 家事がしやすい家になっているか?
を考えながら相見積もりを出してもらいましょう。
そうする事で後々の細やかな打ちあわせ後の見積もり書の金額が大幅に上がりにくいです。
他社の見積もり書をハウスメーカーや工務店に見せることは法律上は問題ないですが、タブーとされているので止めましょう。
見積もり書は施工会社が時間をかけてあなただけの為に作ったものです。
せっかく作ったものを競合している他社には見られたくないものなのです。
これから家作りで長く付き合っていくかもしれない可能性が少しでもあるのならば、他社に「ここのハウスメーカーはこういう見積もりをくれました」と見積もり書を見せるのは辞めるようにしましょう。
信用問題に関わってしまいます。
ただし、他社に出してもらった見積もり書を参考に「もう少し安くして欲しい」などの値段交渉はOKです。
詳細見積もり書とは
詳細見積もり書とはハウスメーカーや工務店と仮契約した後に数回に分けて打ち合わせをします。
その後に出してもらう見積もり書の事を指します。
本契約をする前にもらう見積もり書です。
概算見積もり書と違って「こういう家を建てますよ」という設備名と金額が全てが書かれているので枚数が何十枚にもなります。
内訳としては、主に3つの項目に分かれます。
- 本体価格
- 付帯工事費
- 諸費用
の3つです。
本体価格には家そのものの設備名と金額が書かれています。
基礎、構造、外壁、内装、水回りの設備などが書かれています。
付帯工事費には家本体以外にかかる物が書かれています。
排水工事費、地盤改良費、ガス工事などです。
土地の条件によって工事が必要なかったりするので、大きく金額が変わってきやすい項目でもあります。
諸費用には消費税、人件費、デザイン料や設計料などが書かれています。
また、家を建てるのには色んな申請が必要です。
その為の手数料なんかもこの諸費用に書かれています。
そして、家作りはこだわればこだわる程金額が跳ね上がりがちです。
なので詳細見積もり書の大体の金額の目安を知っておくことも非常に大事だと思います。
ペース配分としては
- 本体価格 全体の70~80%
- 付帯工事費 全体の15~20%
- 諸費用 全体の5~10%
を目安にしておくと、予算通りの家が作れると思います。
注文住宅の見積もり書の注意点
概算見積もり書、詳細見積もり書の違いが分かった所で今度は見積もり書を見る際の注意点を解説していきます。
本契約前にもらう最終の見積もり書が重要なので、ここでは詳細見積もり書の注意点について解説していきたいと思います。
詳細見積もり書の注意点1
詳細見積もり書をチェックする際の1つ目の注意点は「要望」です。
メーカーや工務店との何回にも渡る打ち合わせでは「自分たちの建てたい家」「理想の家」を話したと思います。
その要望がしっかりと詳細見積もり書に反映されてるか2tuをチェックしましょう。
何度も言いますが、詳細見積もり書というのは家の全てが書かれているので枚数が多いですし、非常に細かいです。
ですが、自分たちの理想の家の為にも、全ての項目に目を通すようにしましょう。
時間がかかっても良いので何回も間違いがないか目を通したいものです。
詳細見積もり書の注意点2
2つ目は「金額が不明なものは見積もり書に書かれていない」です。
詳細見積もり書にはまだ金額が分からないものは記載されていない事が多いです。
大体のメーカーは地盤調査を本契約後にするので、この見積もり書をもらう時点では行われていない事が多いです。
なので、地盤調査費や地盤改良費が含まれているか?をチェックしましょう。
役所に申し込まないと金額が分からない上下水道の工事費も抜けている事が多いです。
また、自分たちで用意する事も出来る照明費やカーテン費、エアコン設置費といった費用は記載されていない場合も多いので、注意が必要です。
物によっては100万~200万かかる物もあるので詳細見積もり以外にかかる費用の確認は必要なのです。
見積もり書をもらった時点で担当の人に「この見積もり書に書かれているもの以外で他にかかる物は何かあるか?」を聞いて見るのも良いでしょう。
詳細見積もり書の注意点3
3つ目は「詳細に書かれているか?」です。
詳細見積もり書は内訳が細かく書いてあればある程良い見積もり書です。
水回り1つでも1つ1つの設備が書かれている見積もり書の方が良いのです。
なので、見積もり書の中で「〇〇工事一式 ××円」や「標準装備」と曖昧に一まとめにして記載されている場合には注意が必要です。
担当の人に聞くか、詳しく書き直しした見積もり書を出してもらうようにしてくださいね。
注文住宅の注文書とは
今度は注文書です。
注文書とは「請負契約書」の事です。
請負契約書と難しく言っていますが、請負契約書とは「家をこれから建てますよ」という時の契約書の事です。
- 工事内容
- 着工~完成までの日付
- 引き渡し日
のスケジュールと
- 工事費用
- 支払方法
- 支払する時期
などの金額面に関する事が書かれています。
また、請負契約書の他に
- 約款(やっかん)
- 見積もり書
- 仕様書
- 図面
も一緒にもらいます。
「工事の変更ややむを得ず中止をしなければならなくなった時はどうするか?」
「台風や火災があった時はどうなるか?」
など工事中に問題が起こったら…が細かく記載されている書類です。
請負契約書に書ききれない事がかいてあります。
注文住宅の注文書(請負契約書)をもらうタイミング
もらうタイミングとしては詳細見積もり書をもらった後です。
最終的な見積もりでどんな家を作るかが決まった所で今度はメーカーや工務店と「本契約」に進む訳です。
その本契約の時にこの請負契約書が出てきます。
この契約書に署名、捺印をして本契約となります。
注文住宅の注文書(請負契約書)の注意点
注文書にサインをする時は本契約をする時です。
サインをしてしまったらもう戻れないのです。
なのでいつもより慎重に進めていかなければいけません。
ここではそんな大事な本契約時における注文書の注意点を解説していきます。
注文書にサインをする時の注意点1
注文書にサインをする時の注意点1つ目は「見積もり書をもらったか?」です。
一般的な本契約までの流れは
- プランを立てる・図面を作る
- 詳細見積もり書を出してもらう
- 注文書(請負契約書)にサインして本契約になる
- 工事が始まる
なのです。
なので見積もり書をもらって、確認をしてから注文書になるのです。
ですが、担当者が詳細見積もり書を出す前に「先に契約を済ませてからプランを練りましょう」と先に本契約を進めてきたり、「今、急いで契約しないと割引できない」といたように契約を急かす場合もあります。
こういう言い方をしてくる担当者には十分に気を付けましょう。
あまりにも本契約ばかりを進めてくるようならそのメーカーとは手を切って他の会社を探した方が良いです。
注文書にサインをする時の注意点2
2つ目はスケジュール確認です。
その中でも特に気を付けたいのが「完成する日・引き渡し日」です。
家を建てるのにどの位かかるかなどのスケジュールの説明は担当者から受けると思いますが、天候不良や何かの不具合が起きた場合、最悪1か月遅れる事があります。
家の引き渡し日が遅れたらこんな事になります。
「結婚と同時に新居となるはずだったのに間に合わない…」
「子供の入学と同時に引っ越す予定だったのに…」
「家の完成が遅れた事により、引っ越す時期が遅れ引っ越し費用が高くついた…」
など元の家を引き払ってしまってしまって途方に暮れたり、金銭面で問題が出てくる可能性が出てきてしまう訳です。
こういう困った状況になった時の為に「遅延賠償金」という制度があり、メーカーや工務店に金銭を請求できます。
この遅延賠償金は「何日遅れたらいくらもらえる」など決まりがあります。
なので請負契約書をもらったら、「家の完成が遅れたらどうなるのか?」を聞いてみましょう。
ただしこの時に注意したいのが、引き渡し日や完成する日が空欄だったり「〇月末日」のような曖昧な記載だったらすぐに担当者に確認しましょう。
もし引き渡し日が遅れてもこのような場合だと業者の落ち度の証明が難しくなり遅延賠償金の請求が出来なくなるので注意が必要です。
注文書にサインする時の注意点3
3つ目は「契約金」です。
請負契約書にサインする時にはメーカーから契約金を請求される事がほとんどです。
金額的には請負契約書に記載されている工事費の5~10%を請求される事が多いです。
支払いスケジュールは担当者と一緒に決めるので手持ち金に不安がある人は契約金は少なくて済むように相談してみましょう。
そしてこの契約金以外にも「印紙代」という物がかかります。
税金の1種でこの請負契約書は課税対象になる書類なのです。
金額的には1万円である事が多いと思います。
この印紙代も用意しておくのを忘れないようにしましょう。
注文書にサインする時の注意点4
最後は「書類をしっかり確認する」です。
本契約を結んでしまったらもう変更は出来ません。
なのでこのサインをする前にしっかりと確認をしておきましょう。
時々「約款を用意するのに時間がかかるので郵送します」というメーカーがあります。
ですが、請負契約書と約款は必ずセットになっているものです。
なので約款だけ郵送が絶対にあり得ません!
後から郵送されて不具合があっても本契約を結んでしまった後なら何も文句が言えないので、約款があるかどうか確認が必要です。
また、見積もり書、仕様書、図面は枚数が多いです。
が、これも本契約後には変更が効かないので1枚ずつ丁寧に確認しましょう。
注文住宅の注文書と見積もり書の内訳まとめ
見積もり書とは
- 家を建てるのに掛かる全ての金額が書かれている書類
- 仕様や設備まで細かく書いてあるので枚数が多い
見積もり書をもらうタイミング
複数の施工会社を比較したい時「相見積もり書」
施工会社と打ち合わせをした後にもらう「詳細見積もり書」
の2回ある
見積もり書の注意点
- 打ち合わせの時に伝えた要望が通っているか?見積もり書に書いてあるか?
- 地盤改良費やカーテン費、水道工事費などが含まれているか?
- 曖昧に一まとめにして書かれていないか?
注文書とは
- 注文書とは請負契約書の事
- 工事内容やスケジュールと支払いの事が書かれている
注文書をもらうタイミング
注文書の注意点
- 詳細見積もり書をもらった後であるか?
- 家が完成する日・引き渡し日がはっきり〇日と書かれているか?
- 契約金と印紙代は用意してあるか?
- 請負契約書や約款、図面などに間違いはないか?
今回は家を建てる際にもらう注文書と見積もり書とは何か?またそれぞれの書類の注意点を解説してきました。
注文書も見積もり書も枚数が多く、また紙面いっぱいに文字が書いてあるので非常に理解しずらい&読み辛い書類です。
ですが家作りに欠かせない大切な書類ですのでしっかり理解を深めて読み解いていく事が大切です。