この記事では、四角い家(キューブ型)を建てることについて、詳しく解説します。
四角い家は、屋上が作れる!
このような情報を見る機会が増えて、四角い家が気になっている方は多いでしょう。
しかし四角い家には、リスクも少なくありません。
四角い家のプランニングを始める前に、この記事のポイントをぜひチェックしてみてくださいね。
- キューブ型の家は屋根にリスクがある!
- リスクを激減させて、キューブ型に見える家を建てる方法とは?
この記事の目次
四角い家(キューブ型)の家を建てるメリットとは
四角い家には、実用的なメリットがあります。
モダンな外観の四角い家には、どのようなメリットがあるのでしょうか。
ローコストに建てやすい
四角い家(キューブ型)を選ぶことには、建築費用を安くしやすいメリットがあります。
ローコスト住宅には、シンプルな形の家が多いことは有名ですよね。
それは、シンプルな家が安く建てやすいからです。
安さの理由を見てみましょう。
- 打ち合わせにかかる人件費などを節約できる
- 材料費を節約できる
- 職人の手間を減らして人件費を節約できる
四角い家は、究極のシンプルといえます。
そのため、四角い家はローコストに建てやすいといわれるのです。
補修時の足場が不要
四角い家(キューブ型)の屋根は、足場がなくてもメンテナンスなどをしやすいことがメリットです。
メンテナンスのときに足場を組むと、その分、費用がかかってしまいます。
さらに屋根での作業がしやすいので、ご自身で掃除することもできるでしょう。
屋根を見る機会が多ければ、不具合に早く気づけるので、メンテナンス費用の節約にもつながります。
とくに屋根は、不具合を放置する期間が長くなるほど、ダメージが進行しやすい部分です。
気軽にメンテナンスできることは、耐用年数を長くすることにもつながるでしょう。
耐震性が高い
耐震性の高さは、四角い家(キューブ型)を選ぶことの大きなメリットです。
四角い家は、どっしりと安定感があるため地震に強いとされます。
建物は正方形から長方形に近づくほど、地震に弱くなります。
そのため、うなぎの寝床とよばれる細長い家は、地震に弱いというのが一般的な考え方です。
四角い家でも、極端に大きな窓があると耐震性が下がってしまいます。
大きな窓は解放感がありますが、耐震性のことも意識してプランニングするのがおすすめです。
モダンな外観になる
四角い家(キューブ型)を選ぶと、モダンなデザインの家にしやすいことはメリットです。
街でよく見かける家の屋根は、切妻屋根や片流れ屋根ですよね。
とがった部分がある屋根の家が、街にはとても多いのです。
そんな中にキューブ型の家があると、存在感を出せます。
近代的でモダンなデザインのキューブ型の家は、住宅街でも目立つ存在になるでしょう。
屋上が作れる
四角い家(キューブ型)は、屋根がフラットなので屋上を作りやすいメリットがあります。
屋上のある家を建てたくて、四角い家を選ぶ方も多いでしょう。
屋上を作ることには、プライベート空間を屋外に作れる、太陽光発電を設置しやすいなどのメリットがあります。
生活空間を広くすることにもつながる屋上を作りやすいことは、四角い家のうれしい特徴といえますね。
四角い家(キューブ型)の家を建てるデメリットとは
四角い家(キューブ型)の屋根は、陸屋根というタイプです。
四角い家には、陸屋根であることが原因のデメリットがいくつかあります。
傾斜がなくフラットな屋根を、陸屋根とよびます。
陸屋根はビルの屋根によくある形です。
しかし、最近は一般住宅にも選ばれることが増えました。
屋根を屋上として活用できることから、人気を集めています。
陸屋根は雨漏りのリスクが高い
陸屋根を採用することには、雨漏りのリスクが高くなるデメリットがあります。
陸屋根のフラットな形状が原因で、雨水がたまりやすくなることが大きな理由です。
濡れた状態が続くことで、屋根が劣化して雨漏りにつながります。
屋根の排水溝の掃除が行き届いていないと、雨水はさらにたまりやすくなるでしょう。
- 防水塗装は10年ごと、防水シートは15年ごとにメンテナンスする
雨漏り対策には、メンテナンスを怠らないことが大切です。
施工する防水方法に従って、適切なメンテナンス頻度を確認してくださいね。
陸屋根は外壁の劣化が早い
陸屋根を選ぶことには、外壁の劣化を早めるデメリットがあります。
陸屋根を採用した四角い家には、軒がない場合が多いことがおもな原因です。
軒がないと、日光や風雨から外壁を守れないため、劣化が早まります。
そして外壁が湿気を含みやすいことの問題は、劣化だけではありません。
湿気を好むシロアリの被害にもあいやすくなってしまうのです。
- 外壁に防水処理をする
陸屋根はメンテナンス費用がかかりがち
屋根や外壁の劣化が不安な陸屋根を選ぶと、メンテナンス費用がかかりがちというデメリットがあります。
屋根や外壁の防水工事にはいろいろな種類があります。
どれを選ぶかで費用や耐用年数は変わるでしょう。
しかしどれを選んでも、適切なタイミングでのメンテナンスは必須です。
怠れば、高額な修繕費用が必要になる可能性が高いので、うっかり忘れてしまわないようご注意ください。
陸屋根は木造と相性が悪い
陸屋根は、雨漏りのリスクが高いなど、木造住宅との相性が悪い特徴があります。
そのため、木造で陸屋根を採用することは、基本的に推奨されていません。
陸屋根の四角い家を建てる場合、鉄骨や鉄筋コンクリートを選ぶのが一般的です。
このような予定で、四角い家を考えている方は、構造の見直しが必要かもしれません。
「四角い家は、ビルのようでスタイリッシュ」
多くの方が持つイメージのとおり、陸屋根とは、鉄骨や鉄筋コンクリートのビルなどに適したタイプの屋根なのです。
四角い家(キューブ型)のデメリットを解消する方法は2つ
木造の家を計画中の方も、四角い家をあきらめるのはちょっと待ってください!
四角に「見える」方法で家を建てれば、デメリットを解消できるかもしれません。
正面から奥に向かって流れる屋根にする
家の正面を片流れ屋根の頂点にして、奥に向かって流れるよう設計する方法です。
これは片流れ屋根の傾斜を、前後につけて四角い家に見せるからくりです。
片流れ屋根を採用している、木造のローコスト住宅はたくさんあります。
むしろローコスト住宅に、シンプルな片流れ屋根や切妻屋根を選ぶことはポピュラーな方法といえます。
片流れ屋根は、家の正面から見て左右どちらかに流れている場合が多いようです。
しかし、前後に流れていても片流れ屋根であることに変わりはありません。
前後に傾斜をつけて四角に見せる方法には、安心感がありますね。
メリット
- 片流れ屋根の向きを工夫するだけなので、安心感がある
- 自然に軒を作りやすい
- 陸屋根より雨漏りリスクが低い
- 片流れ屋根は屋根裏スペースを充実させやすい
デメリット
- 横から見ると、ごく普通の片流れ屋根に見える
片流れ屋根の3方を囲んで四角い家に見せる
これは家の正面と左右を、パラペットで囲んで四角い家に見せる方法です。
ビルの屋上によく見られる、建物外周を囲うように立ち上がった小壁のことです。
パラペットには、屋上部分にたまった雨水をせきとめ、外壁に流れ落ちることを防止する効果があります。
家の外壁を上に少し立ち上げて、四角い家に見せるというわけです。
舞台セットの、はりぼてのような構造といえます。
片流れ屋根との相性は、とくによいでしょう。
片流れ屋根のいちばん低い位置にだけパラペットを設置せず、雨どいをつける設計です。
この方法なら、雨水がたまってしまう部分を少なくできますよね。
しかしパラペットは上端から雨水が侵入して、家の劣化を早めるリスクがあります。
そのため軒のある一般的な形の屋根と比較すると、メンテナンスに気を配る必要があります。
メリット
- 見た目が、四角い家により近くなる
デメリット
- 陸屋根の四角い家と同じように、軒がない家になる
- 軒がないため、外壁やサッシの劣化が早くなる
- パラペットの上端から雨水が侵入するリスクがある
「軒と庇」の重要性を我が家のケースで解説
軒は家にとって、とても重要な部分であることをご存じでしょうか。
この事実を、我が家は庇によって実感したのでご紹介します。
庇とは、窓の上についた「窓のための軒」のような部分です。
- 庇あり→寝室、リビングの窓
- 庇なし→廊下、玄関の窓
庇があると、雨が直接窓ガラスに当たりにくいので、雨の日も静かに過ごせます。
また少しの雨なら、窓を閉め忘れても、雨が大量に降りこむことはありません。
しかし庇のない窓からは、小雨でもおどろくほどの降りこみがあるのです。
窓の小さな庇でもこれほどの違いが出ます。
屋根の軒となれば、有無の差はさらに大きなものになるでしょう。
四角い家(キューブ型)には軒がない、という重大な特徴があります。
軒がないことのリスクを考えることも、大切なポイントになるでしょう。
まとめ
四角い家はモダンな外観の家にしやすいため、注目されています。
そんな四角い家を木造で建てるなら、片流れ屋根の向きを工夫する方法がおすすめです。
正面から奥に向かって流れる屋根の家は、住宅街を注意深く見ていると見つけられます。
注意深く見ないと、片流れ屋根であることには気づきません。
イメージは四角い家なのに、使い勝手は片流れ屋根なので、理にかなっているのではないでしょうか。
パラペットを利用する方法は、パラペットが原因のデメリットがあるので、採用するときは注意が必要です。
木造を選ぶなら、木に負担の少ない家にすることが家を長寿命にするための秘訣です。
外観がおしゃれなだけではなく、長寿妙なローコスト住宅のプランニングを目指してくださいね。