安く建てられるローコスト住宅って気になりますよね。
でもハウスメーカーとの違いが何なのか分からないと不安な部分もあります。
ローコスト住宅と通常のハウスメーカーが建てる住宅では、まず金額差があります。
ローコスト住宅メーカー | 大手ハウスメーカー | |
---|---|---|
坪単価 | 30〜50万円 | 50〜90万円 |
40坪の家を建てると? | 1200万円 | 3600万円 |
ハウスメーカーでは坪単価が50~90万円台。
ローコスト住宅では坪単価が30~50万円台。
例えばハウスメーカーで坪単価90万円を40坪で建てると総額3,600万円に。
ローコスト住宅で坪単価30万を40坪で建てると総額1,200万円になります。
この時点で3倍値段が違っているんです。
ハウスメーカーで建てるのと、ローコスト住宅で建てるのと何がそんなに違っているのでしょう?
費用以外にもこれだけの違いがあるのです。
- メンテナンス費用
- 下請けの工務店、大工の腕前
- 住宅展示場の有無
- 工期
- 工法や構造
- 耐震
- 耐久
- 長期優良住宅かどうか
ここからはそれぞれの理由は詳しく解説していきます。
安くて良いマイホームが欲しい!という方はぜひ一度考えてみてください。
この記事の目次
ローコスト住宅とハウスメーカーの違いは9項目
メンテナンス費用
ローコスト住宅は安価な材料で作っているので、メンテナンス費用がかかりがちです。
ローコスト住宅に50年住んだ場合、メンテナンス合計は約1,600万~3,000万円かかると言われています。
あくまでも目安であり、理想的な頻度でメンテナンスをしたらこれぐらいかかるのではないかという想定です。
思っていたよりも金額が高いなと思った人も多いと思います。
逆に元々の家自体が高いハウスメーカーはどうでしょう?
材料自体も特注だったり、メーカーの独自開発したものだったりと、家を建てる時にローコスト住宅よりも格段にコストがかかっています。
しかし、だからといってハウスメーカーの注文住宅でもメンテナンス費用がかからないわけではありません。
ハウスメーカーでは、ほとんど長期保証がついています。
これは無料で補修してくれるというわけではありません。
定期点検があり、多くの場合はそれが無料なのです。
そして、その会社が提案する補修を受けていかないと長期保証が切れてしまいます。
場合によっては住んでいる人たちも気付かないような部分を補修しなければならなくなり、長期保証のためにメンテナンス費用を払うことにもなります。
だいたい50年住んだ場合、メンテナンス合計は約600万~1,000万円かかると言われています。
病院に例えるなら、大病になりやすく、しっかり治療費がかかるのが、ローコスト住宅です。
ハウスメーカーの注文住宅は、ちょこちょこ風邪を引くので定期的に治療費が必要になるのです。
どちらにせよ、日々メンテナンス費用の積み立てをしておくと安心でしょう。
- ローコスト住宅:約1,600万~3,000万円
- ハウスメーカーの注文住宅:約600万~1,000万円
下請け工務店、大工の腕前
ハウスメーカーの注文住宅であれば、自社直営の営業所があり、会社の考えや製品、技術が統一されています。
下請け業者もきちんと確認が本社から入っているので、大きな施工の差はありません。
ローコスト住宅はフランチャイズの会社や、地元の自社のみでやっていることがほとんどです。
そうなると、加盟店ごとにある程度の品質にバラつきがあります。
また、フランチャイズの会社や地元の自社のみの会社は倒産するリスクが大手のハウスメーカーよりも高いです。
ただ、大工さんや下請けの工務店にも様々な人や店があるので、一概にローコストだから職人さんもダメというわけではありません。
なので、契約前に現場の代表者や職人さんに会っておくと安心です。
「職人さんに会っておきたい」と伝えて嫌そうな顔をする会社なら、要検討が必要です。
自信がある会社なら、真摯に対応してくれるはずです。
住宅展示場の有無
ハウスメーカーの多くは、住宅展示場があります。
住宅展示場があることで、家自体を目で確認してもらえるし、手で触ったり、空気感を感じてもらえたりします。
ローコスト住宅はほとんどが住宅展示場を持っていません。
そういう大々的な宣伝をしないことで、ローコストに出来るという利点もあります。
ただ、実物を見ることが出来ないので、建てる前に見てみたい!という人には向いていないかもしれません。
工期
ローコスト住宅はだいたい2~3ヵ月程度で家が完成します。
ハウスメーカーで注文住宅を建てると、工期はだいたい3ヵ月~1年程度かかります。
依頼するメーカーにもよりますが、ハウスメーカーの多くは間取りのデザインや使用資材などを相談したり、設計事務所が関わったりすることがあります。
そういう部分で納期が大幅に違ってくるのです。
ローコスト住宅では、間取りや資材の自由度が少ない代わりに素早く着工が出来ます。
また、工期が短いことで仮住まい期間が短くなり、家賃の節約にもなります。
工法や構造
ローコスト住宅は費用を抑えるために、ほとんどが木造住宅です。
ハウスメーカーの注文住宅では、木造か、鉄筋コンクリート造か、鉄構造かが選べます。
そこで多くの人は、鉄筋コンクリート造か鉄構造を選ぶようです。
木造だからと言って耐震や構造上危険だというわけではありません。
また、木造でもハウスメーカーの多くは独自の工法を使っていることも多いので、同じ木造でも建て方が違っていると、耐震が違うこともあります。
耐震
ローコスト住宅とハウスメーカーの注文住宅で耐震性が大きく変わるわけではありません。
耐震等級は三段階あり、耐震等級1があれば国の定める建築基準法はクリアしています。
なので、ローコスト住宅で建てたとしても、震度6強~7程度には耐えうるはずなのです。
- 耐震等級1:震度6強~7程度の地震には耐えうる強さ
- 耐震等級2:耐震等級1の1.25倍の強さ
- 耐震等級3:耐震等級1の1.5倍の強さ
ポイントとして、ハウスメーカーの多くがホームページで耐震実験を公開しているということです。
映像や実験データなど、目に見えて安心したい、という場合はハウスメーカーの方がいいかもしれません。
ただ、実験はあくまで実験なので現実の地震と同じとは言えません。
その辺りでも注意が必要です。
耐久、老朽化するタイミング
構造によっても耐久や劣化するタイミングは変わってきます。
- 鉄骨造(厚さ3㎜以下)・・・・・・・・・・19年
- 木造 ・・・・・・・・・・・・・・・・・22年
- 鉄骨造(厚さ3㎜超4㎜以下) ・・・・・・・27年
- 鉄骨造(厚さ4㎜超) ・・・・・・・・・・34年
- 鉄筋(コンクリート造、RC)・・・・・・・47年
法定耐用年数は木造が22年、鉄骨造住宅は27~34年と定められています。
ただ、あくまで法定耐用年数は資産価値を評価しているだけにすぎません。
家を建てる環境によってもそれは変わってきます。
よく台風がくる地域だったり、海が近い地域だったりなど、環境的なもので老朽化しやすいということもあります。
木造で建てたいということであれば、ローコスト住宅とハウスメーカーの注文住宅ではそんなに耐久性に大きな差異はありません。
耐火
仕方のないことですが、木造の方がやはり耐火としては弱いところがあります。
事実、年間の木造建造物の火災発生件数は約8,300件、鉄骨造などの「耐火造」の建物は6,200件ほどでした。
しかし、そもそも大前提として日本の建物の多くは木造住宅です。
居住専用の住宅の6割が木造住宅になっています。
だから、一概に木造の方が火災発生率が高い!というわけではありません。
ただ、木造の方が火災保険の内容は間違いなく高くなっています。
保険の面も注意が必要です。
長期優良住宅の有無
法律で定められた基準をクリアした住宅で、長期間安全に暮らすことが出来ると認められた家です。
- 住宅の構造および設備について長期にわたり良好な状態で使用するための措置が講じられていること。
- 住宅の面積が良好な居住水準を確保するために必要な規模を有すること。
- 地域の居住環境の維持・向上に配慮されたものであること。
- 維持保全計画が適切なものであること。
(国土交通省HPより抜粋)
さらに、「耐震性」「バリアフリー性」「省エネルギー性」など色々な項目があります。
ただ、認定基準内にも性能に差があります。
耐震等級で言えば、耐震等級2も3も長期優良住宅の基準内になります。
コストをかければかけるほど、より強固な家がたちます。
しかし、必要以上にそこにコストをかけすぎると値段も跳ね上がるので注意が必要です。
ハウスメーカー住宅のメリット
誰もが知っている知名度
ハウスメーカーの良さは何といってもブランド力です。
ブランド力のある大手のハウスメーカーで家を建てたということは一つのステータスになります。
また、いずれ家を売ることがあれば、名前も知らない工務店で建てた家よりも、誰もが知ってるハウスメーカーで建てた家の方が高く売れます。
さらに、ハウスメーカーは自社開発が進んでいますので、最新の住宅技術を取り入れた家を建てることが出来ます。
自由度の高い間取りやレイアウト
間取りや資材のプランが自分次第で作れるのもまたメリットです。
家の外壁をボルダリングにしたい、子供部屋の入り口を低くして秘密基地のようにしたいなど、変わった依頼もメーカーによっては設計可能です。
自分の中できちんと間取りが浮かんでいる人や、独自の空間を作りたいと思っている人にはオススメです。
安心感
家は快適に暮らすことが主ですが、同時に危険からも守ってくれるものでもあります。
強い家を建てること以上に、住んだ後にも家を守ってくれるメーカーが必要です。
アフターメンテナンスがしっかりしているのは、大手ハウスメーカーが多いです。
大手だとメンテナンス専用の部門もありますので、専門家が早期対応してくれます。
また、倒産する可能性も低いので、その面で見ても安心感があります。
技術力
独自の自社製品や、独自の住宅の建て方があり、技術力で比べると間違いなくハウスメーカーの方がすごいでしょう。
また、マンションや商業施設なども手掛けているメーカーもあるので、質の高い技術力で住宅づくりをしてくれます。
さらに、太陽光発電システムなどにも特化しているメーカーもあります。
エネルギーの自給自足を実現させていたり、蓄電池に力を入れていたり、災害時にも不安が少ない家づくりが進んでいるのもハウスメーカーです。
ローコスト住宅のメリット
安さ
何といっても坪単価が安いことです。
貯金が少なくても建てられるし、ローンを考えても月々の払う金額もマンションやアパートの家賃より安く済みます。
また、20代のうちから家を建てることも可能になるので、若い人たちも助かります。
さらに、これから老後をのんびり過ごしたい方たちも安ければ、老後の貯金をそこまで必要としないので安心感もあります。
プランが決められている
間取りが最初からほとんど決まっていることが、助かる人もいます。
自分で色々な間取りが想像出来ない、決めることが苦手な人にはローコスト住宅が向いています。
ある程度の決められた間取りの中で、後から自分たちで家具を考えて自分仕様にしていけば住みやすい家になるはずです。
また、間取りだけでなく、壁紙や設備、屋根の色や外壁の塗装まで、ハウスメーカーの注文住宅にすると多くの物について考えて決めなければいけません。
決めるのが苦手、家についてそんなに長考したくない人にはある程度決められているローコスト住宅が良さそうです。
いずれ建て替えも視野に入れている
子供が別で住み始めたら建て替えたい、少しの間の仮の住まいにしたい、という人はローコスト住宅がオススメです。
一時的に住む家に豪華な家は必要ありません。
また、安価であることから、次の家や住む場所の積立金もしやすいです。
ローンに追われてさらに貯金も考えるより、次のためにのんびりと貯金出来るのがローコスト住宅のいい面でもあります。
在来工法と2×4工法との違い
在来工法
柱や梁を組み合わせた日本古来の工法が在来工法と呼ばれています。
設計的に自由度が高く、間取りなども気にせずに設計することが出来ます。
また、開口部が大きくとれるので、大きめの窓を付けることも可能です。
さらに部分的に解体や補修がしやすいので、メンテナンスもしやすいのが特徴です。
家族構成や住み方が変わった場合のリフォームも2×4工法よりも容易に出来ます。
建てる時に時間がかかり、技術力も必要なのでハウスメーカーの注文住宅ではこの建て方の物も多いです。
2×4工法
2インチ×4インチの角材が使われていることからこの名前がついています。
2インチ×4インチの木材の枠に合板という広い面の板を貼って壁や床を作る海外から入ってきた工法です。
これで箱を作り、それをいくつもつなげて家を作っています。
線で建てている従来工法よりも、面で建てている2×4工法の方が揺れには強いです。
また、合板で囲んでいるため気密性や断熱性に優れているので、省エネになります。
そして耐火性能も高いので、火災保険なども安くなっています。
さらに企画された角材と合板を使用してある程度マニュアル化された施工方法なので、安定した品質で、工期も短く出来ます。
2×4工法の安い理由
まず建材が安く抑えられます。
従来工法では、梁や柱では家の重要な強度になるので、しっかりした木を探したり加工したりする手間があります。
2×4工法では、一つ一つの材料は小さいので比較的安価で手に入りやすいものになっています。
また、2×4工法はある程度施工がマニュアル化されているので、職人の力量にあまり左右されません。
よって、安く働いてくれる職人の方にお願いすることが出来たり、下請け会社で安く作成することが可能なので、安くなります。
また、工期が短いことで職人の方に長期間働いてもらわなくてもいいので、そこもコストがかからないポイントです。
ただ、最近では従来工法と2×4工法のどちらもを使うハウスメーカーの注文住宅も増えてきました。
そのことで、時間もかけながら、間取りの自由度も生かしつつ、耐震や耐火に強い家が増えています。
ローコスト住宅の疑問
ローン組める?
ローンを組むことは可能です。
ただ、住宅ローンには審査があるので、必ず利用できるわけではありません。
また借りられる場合でも、その時の年収に応じて借り入れ金額が決まります。
- 年収150万円・・・ 760万~1,000万円程度
- 年収200万円・・・1,000万~1,500万円程度
- 年収300万円・・・1,500万~2,000万円程度
ただし、これはあくまでも目安なので、借り入れを予定している銀行に相談してください。
景気や時期によって、金利なども変化していきます。
音漏れは?
コストを抑えている分、一般的な注文住宅よりも遮音性がある材料を使っていないので、ハウスメーカーの注文住宅よりも漏れる可能性はあります。
ただ、間取りや、気密性や断熱性が高い素材を使うなどで遮音性を上げることは可能です。
家を建てる場所にもよりますが、住み始めてから隣の家の近くで騒がないようにすることや、ピアノなどあらかじめ音が鳴ることが分かっているものに関しては夜にしないようにするなども対策出来るので注意しましょう。
また、ローコスト住宅のメーカーで事前に確認しておく方が安心でしょう。
業者とのトラブル
万が一、業者とトラブルになった場合は窓口へ相談しましょう。
- 消費生活センター(電話番号:0570-064-370)
- 法テラス(電話番号:0570-078-374)
- 住まいるダイヤル(電話番号:0570-016-100)
業者との契約時のトラブルは消費生活センターへ。
出来上がった住宅の欠陥があり、訴訟も考える場合は法テラスへ。
何か不動産関係で困った相談窓口は住まいダイヤルへ、相談してください。
補助金や税制
新築の家や省エネ住宅であれば、申請すれば自治体から補助金や減税を受けられることがあります。
基本的に期限内に自ら申請しなければ、給付対象であっても受け取れなくなるので、注意が必要です。
住む予定の自治体に確認したり、住宅メーカーの営業の方に聞いてみたりすると、詳しく分かるはずです。
まとめ
いかがだったでしょうか。
ローコスト住宅とハウスメーカーの違いが、値段だけじゃなく、構造や工期、耐震や耐久まで色々とありました。
決めきれない人や建て替えも視野に入れているローコスト住宅と、ブランド力や間取りの自由度があるハウスメーカーの注文住宅では目指している良さがそれぞれ違っていました。
求めている住みやすさとは何か、今必要なものはお金か安心か。
まずそこから家族で相談してみましょう。