この記事では、家づくりのプランニングで最初に直面する問題の解決に役立つ情報をお伝えします。
家の構造は、土地探しにも影響する重要な項目です。
選ぶ構造によっては、変形地や地盤が弱い土地に家を建てられないかもしれません。
- そもそも一般住宅はどのような構造が選べる?
- 家の構造は、ライフプランに合わせて選ぶのが正解!
この記事の目次
家づくりで選べる構造は3種類
家づくりで選べる構造は、木造・鉄骨造・鉄筋コンクリート造の3種類です。
木造は日本でポピュラーな構造なので選ぶ方が多いですよね。
しかしそれだけで決めてしまうのは早いかもしれません。
他の構造の特徴も知ることで、きっと後悔の少ない選択ができますよ。
木造
日本では昔から、家づくりに木造が選ばれてきました。
日本人にとってなじみのある木造の、メリットやデメリットを見てみましょう。
メリット
- 建築費用をローコストにしやすい
- 火災に強い
- 断熱性が高い
- 調湿性がある
ローコスト住宅を検討しているなら、建築費用を安くしやすい木造は候補になりやすいでしょう。
木造は安く建てられるだけではなく、火災に強い特徴もあります。
木造なら、火災にあっても倒壊してしまうまでに、時間を稼げるのです。
木の表面が燃えても、内部まで燃え尽きるまでに時間がかかるので、家に暮らす人の命が助かりやすいとされます。
デメリット
- シロアリ対策が必要
- 家の完成度にばらつきが出やすい
シロアリは湿気を好むため、床下の換気をよくする工夫をしましょう。
薬剤を使用する方法も効果的です。
次に、家の完成度にばらつきが出やすいのはなぜでしょうか。
これは木造住宅は、人の手作業による工程が多いためと考えられます。
使用する木材の種類によっても、家の完成度や安全性は変わってきます。
鉄骨造
近年、鉄骨造の一般住宅も多くなってきました。
鉄骨造といえばマンションやビルの構造というイメージがありますよね。
一般住宅で鉄骨造を選ぶことの、メリットやデメリットをご紹介します。
メリット
- 材料の品質が安定している
- 完成度を安定させやすい
鉄骨は木と違い、工場で生産される建材であるため品質が安定しています。
工場生産の工程が多いことは、工期を短くすることにもつながります。
鉄骨造は、4か月程度が平均的な工期です。
さらに工場生産の材料を組み立てて作られるため、職人の技術によるばらつきが出にくいのです。
デメリット
- 木造よりコストがかかる
- 断熱性が低くなりがち
鉄骨造は、いちばんローコストに建てやすい木造と比べると、建築費用が高くなる傾向があります。
この点は、ローコスト住宅を計画している方にとってデメリットとなるでしょう。
鉄骨造の建物の断熱性が低くなるのは、鉄の熱の伝わりやすさが原因です。
外の暑さや寒さが、材料の鉄によって室内に伝わりやすくなってしまいます。
鉄骨造を選ぶなら、断熱材のグレードを下げないようにするなどの工夫が大切ですね。
鉄筋コンクリート造
鉄筋コンクリート造を家づくりの構造に選ぶ方は、まだまだ少ないようです。
しかしその特徴を見てみると…
人によっては、いちばんコスパよい選択肢になるかもしれません。
メリット
- 遮音性が高い
- 耐火性が高い
- 耐震性・耐久性が高い
- 地下室を作りやすい
鉄筋コンクリート造を選ぶことには、メリットがたくさんあります。
まず遮音性が高いと、中からも外からも音をカットできるので、生活しやすくなります。
隣家との距離が近くなりがちな狭小地に建てる家にも、遮音性の高さは役立つでしょう。
そして鉄筋コンクリート造は耐久性が高いため、定期的なメンテナンスをすることで長く住み続けられることも特徴です。
デメリット
- 建築費用が高い
- 工期が長くなりがち
- 地盤改良が必要なこともある
- 結露しやすい
メリットが多い鉄筋コンクリート造ですが、その分、建築費用が高くなる傾向があります。
「高品質なものは高価」
これは、家の構造選びでも同じです。
それ以外に工期が長いことも、鉄筋コンクリート造の建築費用が高くなる原因です。
次に、結露しやすいことは、住み心地を考えると気になるデメリットですよね。
鉄筋コンクリート造が結露しやすいのは、気密性の高さのためです。
気密性が高いことはメリットですが、きちんとした換気システムは必須です。
それが備わっていないと、気密性が高いために結露しやすい家になってしまいます。
木造の工法はおもに3種類
家づくりの構造に木造を選んだら、さらに工法を選ぶ必要があります。
同じ木造でも、選ぶ工法によって家に違いが出るので、特徴を知ることは大切です。
木造軸組
- 歴史ある工法である
- 設計の自由度が高い
- 将来的に間取り変更がしやすい
- 家の完成度にばらつきが出やすい
木造軸組工法は、柱や梁を組み立てて家を支えます。
在来工法とも呼ばれる、これまで選ばれ続けてきたオーソドックスな工法です。
歴史があることは、安心感にもつながるでしょう。
しかし昔ながらの建築方法であるため、職人による作業が少なくありません。
そのため家の完成度にばらつきが出ることもある点は、デメリットといえます。
軸組工法を選ぶなら、信頼できる職人を雇っているハウスメーカーを見つけることが大切です。
ツーバイフォー
- 工期が短い
- 家の完成度にばらつきが出にくい
- 自由度は軸組工法より低い
- 大規模な間取り変更は難しい
ツーバイフォーという工法は、サイコロを積み重ねたような構造が特徴です。
規格化された家づくりの方法なので、家の完成度が職人の技術に左右されにくいことはメリットといえます。
しかし面を使って家を支えているため、間取りの自由度は軸組工法より低くなります。
同じ理由で、間取り変更のあるリフォームをすることが難しいことも特徴です。
重量木骨
- 比較的新しい工法である
- 木造なのに大開口を作れる
- 耐震性が高い
- 集成材を使っている
SE構法が生まれた大きなきっかけは「阪神淡路大震災」です。あの時にとても多くの木造住宅が壊れたしまった現状を検証し、「大地震でも絶対に壊れない木造住宅を日本中に広めたい」という理念で「SE構法」は開発されたのです。
その後日本で発生した「中越地震」や「東日本大震災」「熊本地震」において、「SE構法」で建てられた住宅はどの地震においても1棟も壊れませんでした。引用元:SE構法とは
阪神淡路大震災は1995年に発生した震災です。
それ以降にできたということは、家づくりの工法としては、歴史が浅いといえるでしょう。
新しい工法であることは、人によってとらえ方が変わります。
しかしその後の大きな震災で1棟も壊れていないのであれば、重量木骨の耐震性の高さは信頼できそうですよね。
鉄骨造は2種類
鉄骨造は、軽量鉄骨と重量鉄骨の2種類に分けられます。
鋼材の厚みが6mm未満なら軽量鉄骨で、6mm以上なら重量鉄骨です。
これらは同じ鉄骨造ですが、違った特徴を持っているのでご注意ください。
軽量鉄骨
- 建築費用を安くしやすい
- 大規模な地盤改良工事が不要な場合もある
- 防音性が低い
- 耐火性が高くない
軽量鉄骨は重量鉄骨と比べると、建築費用を安くしやすい特徴があります。
費用がかかりがちな地盤改良工事が不要であれば、さらに安くできるでしょう。
軽量鉄骨の、耐火性については注意が必要です。
鉄は木と違って燃えませんが、耐火性は高くありません。
鉄は熱に弱いため、変形するほど熱せられるといきなり倒壊してしまいます。
燃え落ちてしまうまでに時間を稼げる木造と比べると、火災には強くないといえるのです。
重量鉄骨
- 大開口を作れる
- 遮音性が高い
- 大規模な地盤改良工事が必要になりがち
- 建築費用が高くなりやすい
重量鉄骨の大きな特徴は、ラーメン構造であることです。
ラーメン構造とは、柱と梁が一体になるよう溶接する建築方法です。
頑丈な枠を連続させた構造であり、とても強固な建物にすることができます。
その特徴のため、大開口を作りやすいことが魅力です。
また使用する鋼材の厚みがあるため、家の壁も厚くなります。
遮音性を高くできるのはそのためです。
鉄筋コンクリート造の構造はおもに2種類
高性能な特徴をもつ鉄筋コンクリート造の、構造2種類をご紹介します。
ラーメン構造
- 柱と梁で枠を作り家を支える
- 将来的に間取り変更がしやすい
- 建築費用が高くなりやすい
- 室内に凹凸が出てしまう
枠で支える構造をラーメン構造とよびます。
この構造は枠で建物を支えるため、大開口を作りやすいことが特徴です。
壁で支える構造と違い、ラーメン構造は壁を減らしたり、薄くしたりすることもできます。
しかし大きな柱と梁が室内に現れるケースが多いため、インテリアの邪魔になることもあるでしょう。
壁式構造
- 床と壁で支える構造
- 費用を抑えやすい
- 設計の自由度は高くない
- ラーメン構造より壁が厚い
- 大規模な間取り変更は難しい
壁式構造を選ぶと、比較的建築費用を抑えやすくなります。
構造の中でも建築費用がいちばん高くなりやすいのが、鉄筋コンクリート造です。
そんな鉄筋コンクリート造の家を、ローコストに建てたいと考えている方にとってはメリットとなるでしょう。
壁が厚くなりやすい構造ですが、ラーメン構造より室内の凹凸を少なくできる特徴があります。
そのため、すっきりとしたインテリアコーディネートがしやすくなります。
建築費がローコストなのは木造軸組
木造軸組は、ローコスト住宅でポピュラーな構造です。
ローコストにしやすいことは、選ばれやすさの理由といえます。
建築費用をローコストにすれば、住宅ローンの借り入れ金額を少額にできます。
早めに返済を済ませて、世代が変わったら別の暮らし方を予定することもしやすいでしょう。
なお木造でも、適切なメンテナンスをすれば家の寿命を長くすることはできます。
長く暮らす家なら、断熱性や気密性など、家の基本的な設備のグレードを高くするのがおすすめです。
長く暮らすなら鉄筋コンクリート造が高コスパ
鉄筋コンクリート造は建築費用が高くなりやすいため、初期費用がかかる構造といえます。
しかし耐用年数が長いため、長期的に考えればコスパがよいとも考えられます。
世代交代しても暮らし続けるプランであれば、かなり長期間暮らす家になるでしょう。
その間に家を建て替えるよりは、メンテナンス費用をかけて同じ家に暮らし続ける方がコスパはよくなります。
鉄筋コンクリート造は、長く暮らすほど高コスパになる構造といえますね。
重量木骨はバランスのよい構造
重量木骨は、木造でラーメン構造を作る構造です。
重量鉄骨や鉄筋コンクリート造でラーメン構造を作るより、木造の方がコストを抑えられます。
高性能なラーメン構造を、木造で安く作れるのはお得ですよね。
重量木骨は、木造の耐震性を高くするため考えられた構造であることもポイントです。
より長期間暮らせる可能性が高くなるでしょう。
暮らす間にリフォームが必要になったら、大規模な間取り変更もできるので困りません。
他のラーメン構造の家より安く建てられて、長期間安心して暮らせるなら、バランスよい構造といえるでしょう。
まとめ
家づくりの構造選びには、ライフプランを考えることが大切です。
その家にどのくらいの期間暮らす予定なのかが決まれば、ぴったりの構造を見つけやすくなります。
長く同じ家に暮らすなら、長寿命にしやすい鉄筋コンクリート造が結果的にローコストになるかもしれません。
その場合、重量木骨はバランスよい選択肢かもしれませんよ。