ローコスト住宅で地下室を安く作るポイントは3つ

この記事では地下室のある家を、できるだけローコストに建てるためのコツを中心に解説します。

地下室のある家に憧れはあるものの、なんとなくハードルが高そう…と感じている方は少なくないでしょう。

建築基準法上では、床面から天井までの高さの3分の1以上が地中にある部屋を地下室と定義していますが、タイプはいろいろあります。

地下室を作る目的をはっきりさせて、ぴったりの地下室をお得に作りましょう!

地下室を作るメリット

地下室のある家をプランニングする前に、地下室にはどのようなメリットがあるか確認しましょう。

思いがけないメリットも隠れているかもしれません。

防音性の高いプライベート空間を作れる

地下室の地中に埋まっている部分は、鉄筋コンクリートで作られるため音や振動の遮断性が高い特徴があります。

もともと鉄筋コンクリートは防音性が高い構造であるうえに、地下室は鉄筋コンクリート壁の外も土で守られているため、さらに高性能な防音効果が期待できるのです。

そのためホームシアターや音楽室として地下室を活用するケースが多く、地下に出店しているライブハウスが多いのもこのためです。

また、地下室は外からの音も遮断してくれるので、深い静寂を感じられる空間にもなります。

寝室や書斎としての活用にも向いているといえるでしょう。

外気に左右されにくい空間を作れる

土の中にある地下室は外気の影響を受けにくく、年中気温が安定的という特徴があります。

しかも地下室には換気設備や除湿設備を設置することが規定されているので、快適な環境を保ちやすいでしょう。

アルコールや食品の多くは、直射日光や高温多湿を避けて保存することが推奨されているため、地下室はそれらの保管場所としてぴったりといえます。

狭小地でも居住空間を増やせる

家を建てる際は、建築する土地に定められた容積率を守って設計する必要がありますが、狭小地だと容積率上限まで床面積を増やしても居住スペースが不足するケースがあります。

しかし地下室のある家なら容積率の優遇措置が受けられて、土地に定められた容積率以上の床面積で家を建てられる可能性があります。

優遇措置の内容は、地下室の天井と地面の差が1メートル以内の場合、地下室を含む家中の延床面積の3分の1まで容積率の計算に入れないというものです。

狭小地ならありがたい優遇措置となるでしょう。

注意
建築基準法上では、3分の1以上地中にあると地下室とされますが、容積率の優遇措置を受けるには、その条件に加え地下室の天井と地面の差が1メートル以内になるよう設計する必要があります。

地震に強い空間を家の中に作れる

地下室は大変耐震性が高い部屋という特徴があります。

地下室は鉄筋コンクリートに守られた大きなシェルターのような構造であること、さらに土の中に作る部屋という特性上、堅牢な設計がされていることが主な理由です。

また地震とは地面が揺れるものなので、その地面と一緒に揺れている地下室は衝撃が軽減されやすいのです。

家の中に安全性の高いシェルターがあると、いざというときの備えとしては心強いものとなるでしょう。

ケンタ
食料庫として地下室を活用するなら、地下室は食料備蓄のあるシェルターになるわけだね!

地下室を作るデメリット

地下室を作るには、土を掘ったり土を処分したり防水工事をしたりと、一般的な家の建築にはない工程が多くあり、その分人件費などが余分にかかります。

さらに地下室特有の排水設備や、高性能な断熱材、換気設備などを整える必要もあるため、地下室を作るのに1,000万円以上かかるケースもあります

空調設備などを疎かにすると、湿気がこもったり結露したりと、室内環境が悪い部屋になってしまいます。

地下室は容積率の優遇措置が受けられる可能性はあるものの、施工にかかるコストは決して小さなものではありません。

地下室の種類や費用の関係を解説

部屋のどの程度が地中に埋まっているかで、地下室はいくつかのタイプに分けられます。

また地形を活用したタイプの地下室もあるので見てみましょう。

全地下タイプ

部屋の全スペースが地中に埋まっており、天井が地面より低い位置にあるタイプの地下室です。

外気に接する部分がないため、高い防音性や断熱性が期待できることがメリットです。

しかし部屋の外が土に囲まれており窓を施工することができず、直接日光や風を取り入れることができないため、空調設備を高性能にすることが推奨されます。

またどのタイプより深く穴を掘る必要があるため、施工費は高く見積もる必要がある点はデメリットといえるでしょう。

半地下タイプ

建築基準法で地下室と定められるには、部屋の3分の1以上が地中に施工されている必要がありますが、半地下はその条件を守って施工される地下室を指します。

半地下タイプは地上に出ている部分に窓を施工することができ、より一般的な居住空間に近い環境の部屋にできます。

さらに全地下タイプより浅く土を掘るだけで済むため、その分コストカットができる点もメリットといえるでしょう。

しかし半地下は露出部分があるため、全地下と比較して防音性や断熱性は落ちるデメリットもあります。

地下収納庫タイプ

地下収納庫タイプは地下室の高さを1.4m以下、広さをフロアの半分以下にした収納スペースを指します。

収納スペースであり部屋とは見なされないため、延床面積に算入されないというメリットがあります。

キッチンなどの床下収納が広く深くなったようなイメージですね。

居室スペースを広くするというより、収納スペースを増やすことで本来の居住スペースにゆとりを持たせることが主な活用目的となるでしょう。

大型の床下収納庫として規格化されたものを選ぶなどの方法で、大幅にコストを抑えて地下スペースが作れる可能性があります。

土地の形状を利用した地下室

傾斜地は地形を利用して地下室が作りやすいく、実際に施工事例も多く見られます。

傾斜の低い側から見ると一般的な居室があり、反対に傾斜の高い側から見ると地下室になっているといった構造です。

もともとの地形を生かしているので、平地に大きな穴を掘る場合と比較すれば施工費用を抑えられる可能性が高いでしょう。

なお傾斜地で地下室と判定されるためには、平均地盤面や地下室の高さのバランスをとって設計をする必要があることに注意が必要です。

地下室で特に費用がかかる施工は?

コストがかかることは地下室を作るうえで大きなデメリットですが、具体的に地下室のどのような施工に費用がかかるのでしょうか。

地下室施工のおおまかな流れ
  1. 地盤調査
  2. 1の結果次第で必要に応じた地盤改良
  3. 山留工事
  4. 堀った土の処分費
  5. 鉄筋コンクリート部分の工事
  6. 浸水対策工事
  7. 空調設備などの施工

山留工事費用

山留工事とは、地下室の穴を掘った際に周囲の土が崩れてくるのを防ぐために行われる工事です。

10坪程度の地下室だとしても200万円程度のコストがかかる工程とされますが、土壌の状態によって費用が大きく前後する可能性があります。

掘った土を捨てる費用

土を捨てるためには思いのほか費用がかかり、10坪程度の地下室分の土だとしても200万円は予算を確保する必要があるとされます。

山留工事とそれほど変わらないコストがかかると考えると、土の処分はいかにコストがかかる工程かがわかりますね。

MEMO

土地ごとに差が出やすいとされる地盤改良は、土地の深層部まで改良が必要なら300万円前後の費用がかかるケースもあります。

あらかじめ予測できない予算とも言えるので、余裕のある資金計画が大切ですね。

コストのかかる地下室はローコスト住宅がおすすめ

大きなコストがかかる地下室のある家を建てるなら、地下室に対応したローコスト住宅メーカーを選んで依頼するのがおすすめです。

効率よく地下室の施工をしてくれたり、地下室以外にかかる費用を最大限カットしてくれたりと、地下室のある家を少しでも安く建てるためのアイデアを持っている可能性が高いでしょう。

ローコスト住宅メーカー選びのポイント

ローコスト住宅選びの大切なポイント
  • 材料の仕入れを効率化してコストカットしている
  • 選べる間取りやデザインをパターン化して打合せにかかるコストをカットしている
  • モデルハウスなどの宣伝をしないことでコストカットしている

以上のような理由でローコストを実現しているメーカーを選ぶと、ローコストであることが原因で粗悪な家が建てられる心配がありません。

地下室のある家を希望する場合、他にも気を付けるポイントがあるのでをご紹介します。

規格住宅として地下室を取り扱っているメーカーを選ぶ

規格住宅とは、あらかじめ用意された数パターンの間取りや仕様に従って建てられるローコスト住宅のことです。

家のパターンが限られているため、建築にかかる材料をまとめて仕入れることができコストカットにつながります。

また設備仕様などはほぼ選ぶ手間がないため、打合せ回数が少なく済み、その分人件費でコストカットできるという仕組みです。

そのような規格住宅で地下室のある家を建てるメーカーを選べば、フルオーダーの地下室よりお得に施工できる可能性が高いでしょう。

地下室対応であり施工例が豊富なメーカーを選ぶ

地下室のある家を建てるなら、地下室施工に対応していることを確認するのはもちろん、地下室の施工事例が多いメーカーを選ぶことが重要です。

また大手ハウスメーカーと比較して、地下室施工に特化した工務店などの方がローコストに地下室を施工できるケースが多いとされます。

地下室を施工する場合、土地の現地調査をして地下室の施工ができるか否かを判断したり、避難経路を確保したりと、地下室ならではの特殊な工程があります。

慣れていないメーカーにそれらを任せるのは、コスト面の不安以前に安全性にも不安がありますよね。

地下室に慣れたメーカーなら施工はスムーズで無駄がなく、施工後のアフターメンテナンスも充実している可能性が高いでしょう。

後悔が少ない地下室をローコスト住宅で作るコツ

コストをかけて作った地下室が、考えていたものと異なった完成になっては大変です。

実際に地下室を施工した施主の中には、後悔を感じている方も少なからず存在するというデータもあるため、事前にしっかりプランニングすることを怠ってはいけません。

地下室作りで後悔しないためには、プランニングの早めの段階から対策が必要な場合がほとんどです。

使用目的を決めてから地下室プランニングをする

各部屋の使い方をあらかじめ決めてから間取りを考えることは大切ですが、それは地下室についても同じことがいえます。

地下室で何がしたいかをしっかり決めず漠然と作ってしまうと、結局使い道のない地下室ができてしまうかもしれません。

使い道を決めることで、地下室に採光が必要かどうか、地下室の天井高はどれくらい必要かなどが見えてきます。

地下室は施工後の手直しが難しい部屋とされるので、より綿密なプランニングが必要です。

ハイグレードな防音室を施工した我が家の話

我が家はSE構法と呼ばれる特殊な木造で家を新築して、2階にハイグレードな防音室を施工してグランドピアノを搬入しました。建築音響製品を専門に作っているメーカーのショールームで、音漏れがほとんどしないことを確認して選んだ防音室だったのですが…実際に施工してもらったら思いのほか音漏れする結果となりました。夜中はとても演奏できません。ショールームは高層ビルで鉄筋コンクリート造だったため高い防音性が実現できていたのであって、木造の我が家に施工した場合は同じ防音性が発揮されないのでしょう。防音性を最優先に考える場合は、全地下タイプの地下室のような鉄筋コンクリート造に防音設備を取り入れる必要があることを実感しました。

目的に合った地下室のタイプを選び土地探しをする

地下室をホームシアターとして活用したい場合を例として考えてみましょう。

本格的な音響機材を導入したホームシアターを地下室に作るなら、まずは防音性の高さが優先される項目です。

採光はむしろない方が適していますね。

つまりホームシアターとして活用する地下室は、全地下タイプを選ぶのがよいと考えられます。

ここまで決めたうえで土地探しをすれば、大きく失敗するリスクが減らせます。

さらにこの段階までに依頼するメーカーを決めておけば、対象の土地近隣のボーリングデータなどを調べてもらえる可能性があるので、さらに安心です。

地盤改良には多額の費用がかかるケースがあるので、土地選びは慎重にするのが望ましいでしょう。

狭すぎる地下室は割高になる危険がある

地下室の施工は土を掘ったり運び出したりする工程など、特殊車両を使用する場面が多いものですが、その手配費用は決して安くありません。

広くても狭くても、地下室を施工する際にその手配費用は必要となるため、広い地下室を施工した方が工事の坪単価が安くなるという考え方です。

ちなみに20畳程度を境に坪単価が安くなっていくとするデータがあります。

狭すぎる地下室を施工するよりは、ロフトや小屋裏を充実させる方が理にかなっている場合もあるということですね。

ケンタ
ほんの小さな地下室でも良いから作ってみたいな!
ツマ
ちょっと待って!それはコスパが悪い結果になるかも…

地下室以外で極力コストカットする

できるだけ地下室に費用を集中させられるよう、地上階の施工では極力コストカットをするのがおすすめです。

それぞれの土地によって必要な工事が変化する性質があるため、地下室施工にかかる坪単価が一律に示されたデータを見つけるのは難しく、予算がわかりにくい傾向があります。

予想外の予算がかかることを想定する必要があるため、極力地下室以外にかかるコストはカットしておくと安心でしょう。

断熱性や気密性など家の基本性能に関するグレードは落とさずに、壁紙やフローリングなどのグレードを抑えたり、浴室乾燥機などの機能は最低限のものを選択するなどが有効です。

特に壁紙やフローリングは将来的にリフォームが比較的簡単にできるため、コストカットしやすい部分といえます。

まとめ

地下室には施工費がかかりますが、地上階にはない魅力がたくさんあります。

せっかく費用をかけて地下室を作るなら、便利に使えて快適な地下室が完成するようしっかりプランニングすることが大切です。

そして地下室はどのような土地でも施工できるものではないので、土地を購入する前に相談できるよう、早めに信頼できるメーカーを見つけておくと安心ですね。

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