この記事では、ガレージハウスをローコスト住宅で建てるためのコツを紹介します。
ガレージハウスは家の1階部分にガレージが組み込まれたタイプの家で、車を趣味とする方を中心に人気があります。
室内からショールームのように愛車を眺められる間取りにしたり、車のメンテナンスを快適に行える環境をガレージに整えたり… 車が好きな方なら夢が広がりますね。
しかしガレージ部分には、車1台あたり300万円前後の建築費用がかかるとされます。
お得にガレージハウスを建てるには、ガレージ分のコストと家の他の部分にかかるコストのバランスを上手に調節しながらプランニングすることが重要です。
この記事の目次
ガレージハウスはメリットが多い
車愛好家にとって、いつでも愛車を身近に置きながら生活ができるガレージハウスはとても魅力的です。
単身者が趣味で建てる家ならその満足感だけで十分ですが、家族で暮らす家となると他の家族にとってのメリットを考えることも大切ですよね。
ガレージハウスで生活するとどのようなメリットがあるのでしょうか。
メリット①狭小地でも駐車スペースを確保できる
ガレージハウスなら面積の小さな土地でも駐車スペースを確保できるメリットがあります。
駅の近くなど一般的に好条件とされるエリアで土地探しをすると土地価格が高くなり、どうしても小さな土地を購入することになりがちです。
車を持たない家庭なら大きな問題にはなりませんが、1台でも所有する場合、家の他に駐車場を借りて生活する必要が出てきます。
好条件なエリアで駐車場需要が高ければ、当然駐車場代金も高額になるため、そのランニングコストは経済的負担になる可能性が高くなるでしょう。
家を建てる面積を減らすことなく駐車スペースを確保できるガレージハウスなら、駐車場にかかるランニングコストを削減できます。
長期的に考えれば、ガレージハウスにするためにかかった費用を取り戻せると考えられます。
メリット②天候に左右されずに快適な車の乗り降りが可能
ガレージから直接家にアクセスできる間取りのガレージハウスにすれば、悪天候でも一切濡れることなく車の乗り降りができます。
家の外に駐車してある車に乗り降りする場合、少なからず濡れてしまいますよね。
さらに大きな荷物もあれば、荷物も服も濡れてしまうことは避けられません。
それが家から離れた場所に借りている駐車場に駐車した車だとしたら、なおさら大変ですよね。
小さな子連れでも、大きな荷物を持っていても快適な車の乗り降りができることは、どのような家族構成の家庭にとってもメリットとなります。
介護が必要になった場合を考えても、家から屋根のない屋外に出ることなく車に乗り降りできることは助かるはずです。
メリット③アクティブな遊び場所が増える
少々の砂や泥を気にすることなく遊べる場所が家にあると、家で過ごす時間は充実します。
それがガレージハウスのガレージ部分なら、屋根があるため天候に左右されません。
さらにシャッター付きのガレージにすればプライベート空間でアクティブに過ごせるので、プール遊びをする場合も通行人の視線を気にする必要がなくなります。
キャンプやサーフィンなどの趣味があれば、ガレージをアイテム置き場として活用するのもおすすめです。
居住空間に保管する場合と違って、ガレージなら少々の汚れを気にする必要がありません。
このように家の中でありながら、外のような感覚で使えるスペースは生活の幅を広げてくれるでしょう。
土間のある家がトレンドの1つとされていることからも、アクティブに使える場所を戸建て住宅に求める人は少なくありません。
メリット④固定資産税が得になる
家の延べ床面積のうち5分の1以下をガレージにした場合、ガレージ部分は固定資産税の計算に含めないとされます。
地価の高いエリアで土地を購入する場合、固定資産税も高くなりがちなため、ガレージ部分が計算に含まれないことのメリットは大きくなります。
なおガレージは広く快適な空間にすればするほど固定資産税が高くなります。
例えば換気目的以上の大きさの窓があって居室環境に近い、電動シャッターが設置されていてぜいたくな設備である、などの判断をされると固定資産税の評価額が高くなるのです。
基準は自治体によって異なるため、確実に固定資産税の対策を考えるなら、しっかり確認するのがおすすめです。
ガレージのどの部分に費用がかかるか
車愛好家にとってだけではなく、幅広い世代にとってガレージハウスはメリットが多い家であることがわかりました。
長期的に考えても、ガレージハウスを選択して損はなさそうと感じる方は少なくないでしょう。
問題は特殊なスペースであるガレージの建築にイレギュラーな費用がかかることです。
具体的にどのような費用がかかるのでしょうか。
耐震性の対策
家の1階部分に車を駐車できるオープンなスペースを作るわけですから、耐震性には気を付ける必要があります。
開口部が大きくなるほど建物の強度は落ちるため、それに対応した建築方法を選択しなくてはなりません。
用途や広さによっては、ガレージ部分のみ違う工法を取り入れることも考える必要があります。
スタンダードな建築方法で対応できない建物にかかる建築費用は、一般的に高くなるためしっかりとした計画が必要です。
換気対策
ガレージハウスのガレージ部分は換気にも気をつかう必要があります。
特に排気ガスは健康によくないので、きちんとした設備で換気するのがおすすめです。
そもそも密閉度の高いガレージで長時間アイドリングするなどの使用方法は避けることが前提です。
しかし小さな子どもが思うように乗車してくれないなどの理由で、思いがけずアイドリング時間が長くなることも想定しなくてはなりません。
そして雨で車が濡れた場合などは、換気がしっかりしていないと、湿気がこもってカビや錆が発生する可能性があります。
快適なガレージハウスをプランニングするコツ
ガレージに対する漠然とした憧れだけでガレージハウスのプランニングをしてしまうと、思いがけず不便なガレージが出来上がってしまうかもしれません。
具体的にそのガレージをどのような方法で活用するのか、計画をしっかり立ててからプランニングに臨むのがおすすめです。
プランニングの手順を紹介するので、参考にしてくださいね。
ガレージハウスで何がしたいか考える
- 車のメンテナンスをする
- 部屋から車を眺める
- 安全な子どもの遊び場所を確保する
- アウトドアグッズやタイヤの保管をする
- 自転車置き場を兼ねる
- オーナーの書斎を兼ねる
これらはガレージハウスで実現できることの、ほんの一例です。
具体的な使い方を決めてからガレージハウスのプランニングを始めないと、やりたいことができないガレージができてしまうので気を付けましょう。
例えばオーナーの書斎を兼ねるのであれば、照明や空調設備を整えないと快適な空間作りができません。
後付け工事をすることになれば、余分に費用がかかる可能性が高くなるので注意が必要です。
他にもメンテナンスをゆっくりする使い方をするなら、必要なスペースを確保しなくてはなりません。
スペースの確保を疎かにすると、結局他の場所に車を移動させて作業することになり、ガレージの意味がなくなってしまいます。
理想のガレージに必要な広さを考える
ガレージで何がしたいかが決まったら、それを実現するために必要なスペースについて考えましょう。
車1台を駐車するには、5坪前後のスペースが最低限必要とされます。
車の他に収納したいものが多い、自転車を一緒に保管したいなどの場合はその分のスペースを確保しなくては、有効に活用できません。
他にもガレージを子どもの遊び場所として使いたいなら、車を駐車しても遊び場所を確保できるようプランニングする必要があります。
スペースが十分でないと、大切な車に傷がつくリスクも高くなるでしょう。
希望するガレージハウスに最適な工法を考える
理想のガレージに必要なスペースがわかったら、そのスペースを確保するための設計にはどの工法を選ぶ必要があるのか考えます。
広い間口が必要な場合、鉄骨造や鉄筋コンクリート造、特殊な工法の木造などから選択する必要があります。
鉄筋コンクリート造は建築工法の中でも高価なものなので、ガレージ部分を鉄筋コンクリート造、上部を木造にするなどの混構造を選択するケースもあります。
なお鉄筋コンクリート造のような自重のある工法を選択した場合、それを支える地盤の改良などに追加で費用がかかる可能性があることに注意が必要です。
我が家はガレージハウスではありませんが、SE構法と呼ばれる特殊な木造建築方法で家を建てました。SE構法は、木造でありながら鉄骨造のような大開口を実現できることを特徴としており、車3台を横に並べて駐車できるほどの開口部を設けることもできるとのことです。そのためSE構法に対応しているハウスメーカーは高確率でガレージハウスを推しています。
その特性はガレージハウスではない我が家のような家でも生かされ、室内に余分な梁や柱がない、すっきりとした見た目の家になりました。余分な柱がないことは生活のしやすさにもつながります。SE構法は、他にも高い耐震性など魅力がありますが、コストはもちろん一般的な木造住宅より高くなります。
間取りを工夫する
狭小地でガレージハウスを建てるなら、1階は多くの面積をガレージに使用するため、自然と居住空間は2階へ上がっていきます。
土地の大きさや確保するガレージの大きさによっては、1階はガレージのみとなり、リビングやキッチンは2階になります。
浴室も2階以上に配置されることが多くなりますが、1階に配置する場合よりメンテナンス費や施工費が割高になるというデメリットがあります。
敷地面積に余裕があり、居住空間をガレージと同じ1階に配置できる場合は、音の振動に気をつかった間取りを採用するのがおすすめです。
例えば浴室などの水回りを、ガレージとリビングのワンクッションとなる場所に配置するのも良いでしょう。
また就寝時間がずれる家族がいる場合、寝室とガレージが隣り合わない間取りを選ぶなどの配慮をすると、ストレスなく生活ができます。
ローコスト住宅でガレージハウスを実現するためのコツ
多くの人にとってメリットがたくさんあるガレージハウスですが、施工費が割高になることがデメリットといえます。
上手にローコスト住宅メーカーと協力して、施工費を抑えながら理想のガレージハウスプランニングをするのがおすすめです。
メーカー選びのコツや、効率的なコストカットのコツを紹介するので、参考にしてくださいね。
ローコスト住宅メーカー選び
ローコスト住宅でガレージハウスを建てたい場合、ガレージハウスを多く施工しているローコスト住宅メーカーを選ぶことが大切です。
ハウスメーカーは多くの場合、ホームページで施工事例を公開しているので、まずは参考に見てみましょう。
ガレージハウスに慣れたローコスト住宅メーカーなら、コツが必要なガレージハウスの間取り提案も、より適切にしてくれる可能性が高くなります。
ここでローコスト住宅メーカーがローコストを実現している方法を見てみましょう。
- 選べる間取りやデザインの選択肢を少なくしてコストカット
- パターン化された材料や設備をまとめて仕入れることでコストカット
- 打ち合わせに時間がかからないので人件費をコストカット
- モデルハウスや宣伝にかかる費用をコストカット
以上のような方法で一般的なローコスト住宅メーカーはローコストを実現しています。
つまりガレージハウスをパターンの1つとしてプランニングしているメーカーなら、お得に良質なガレージハウスを建てられる可能性が高くなるのです。
粗悪な材料選びや建て方をしてコストカットしているメーカーを避ければ、ローコスト住宅であることが理由でクオリティの低い家が建つ心配はありません。
これまでメーカーが手掛けてきた施工例をもとに、的確なプランニングの提案をしてもらえることが期待できるでしょう。
さらにガレージハウスの建築に慣れていれば、ガレージ特有の設備にも精通していると考えられます。
コストカットできるところは徹底的に
ガレージハウスはガレージにコストがかかるため、ガレージ以外の部分にかかるコストをできる限りカットすることが大切です。
- シンプルな間取りにする
- シンプルな屋根の形にする
- 収納を1か所集中タイプにする
- 浴室乾燥機や玄関ドアなどはできるだけグレードを低くする
節約した分をガレージ部分に充てることは、家全体のコストを抑えてガレージハウスを建てることにつながります。
しかし居住空間の快適性を損なうようなコストカットをしてはいけません。
例えば断熱性や気密性にかかわる設備のグレードを落としてしまうと、外気の影響を受けやすくなり光熱費が高くなるなどの弊害が発生します。
またガレージと居住空間が近くなるガレージハウスで家の気密性が劣っていると、室内に排気ガスなどが入り込む原因となるでしょう。
ガレージ部分に費用をかけるためとはいえ、基本的な家の性能を落としてしまっては快適なガレージハウスを完成させることはできません。
まとめ
ガレージハウスは生活の幅を便利に広げてくれる可能性がある家であることがわかりました。
理想的なガレージハウスにはコストがかかりますが、ローコスト住宅メーカーを上手に選んでプランニングすれば効率よくローコストなガレージハウスが建てられる可能性が高くなります。
生活空間の一部に駐車スペースがあるため、便利に車の利用ができ、ランニングコスト的に駐車場代を払い続ける必要もありません。
ガレージハウスは狭小地で快適な生活を送るカギとなりそうですね。