家が安く手に入る、ローコスト住宅って魅力的ですよね。
でも、「安い家」って不安になる人もいると思います。
大手ハウスメーカーの坪単価と比較すると、ものすごい金額差があります。
ローコスト住宅メーカー | 大手ハウスメーカー | |
---|---|---|
坪単価 | 30〜50万円 | 50〜90万円 |
40坪の家を建てると? | 1200万円 | 3600万円 |
しかし、次のような問題点もあります。
- 価格表示が安く表示されている
- オプションを付けると高い物件になる
- 短い工期は手抜き工事につながることもある
資金が無いけど、マイホームが欲しい。
でもトラブルになるのも怖い。
という方はぜひ参考にしてみてください。
この記事の目次
ローコスト住宅のトラブルTOP3
価格表示が安く表示されている
ローコスト住宅はコスト削減を徹底的に努力した結果、低価格を実現しています。
とはいえ、カタログなどに表示されている坪単価に対して、実際に住宅を建てるときよりも低く表示されていることがあります。
そのため、一層安く見えるのです。
坪単価の価格の算出方法に法的決まりがないので、各業者によって算出方法が異なる、ということがあります。
具体的には、坪単価に配管工事費や電気や水道の工事費などが含まれていなかったり、浄化槽の設置工事などが計算に無かったりなど、安く算出されているのです。
基本的に配管工事などの工事費用が付帯価格と呼ばれ、全体の2割。
登記や事務手続きなどの諸費用の価格が、全体の1割を占めています。
実際手元に来る見積もりはこれらが含まれていますが、ホームページや資料ではこれらが省かれていることが多いのです。
ということは、実際の坪単価のコミコミの費用は3割増し。
ローコスト住宅メーカー | 大手ハウスメーカー | |
---|---|---|
坪単価 | 30〜50万円 | 50〜90万円 |
40坪の家を建てると? | 1200万円 | 3600万円 |
坪単価で見れば小さいかもしれませんが、これが40坪になると400万~600万円も差があります。
その結果、カタログを鵜呑みにしてローコスト住宅の価格を計算していると、いざ建てる時に計算が合わず、トラブルになることがあります。
オプションを付けると高い物件になる
標準装備だけでローコスト住宅を建てると勿論低価格なのですが、気になる部分の装備を追加するとオプション価格になる場合が多いです。
さらに、オプション価格になると金額が跳ね上がるので、想定していたよりも総費用が高くなる、というのはよく聞かれる話です。
- キッチンカウンター追加費用:約22万円
- 二階トイレ追加費用:約26万円
- 二階洗面化粧台追加費用:約15万円
- ロフト追加費用:約19万円
これ以外にもメーカーによってオプション価格にして追加費用になるものもあります。
そうなると、ローコストで家を建てようと思っていたのに、普通の注文住宅と値段が変わらなくなったり、それよりも値段が高くなってしまったりして、トラブルの原因になります。
短い工期は手抜き工事につながることもある
ローコスト住宅の工期は短いのが特徴です。
それはシンプルな間取りが多く、それに慣れた職人の方が作るので、ハウスメーカーの注文住宅では半年から一年かかるところが3、4ヵ月で完成します。
目安は4ヵ月程度です。
それよりも圧倒的に短い工期だと、手抜き工事につながる恐れがあります。
やはり、住宅のクオリティを考えると、あまりにも短い工期であれば、職人たちも急いでいるので、うっかりミスや見落としが増えてしまうのが現状です。
そのまま家が建ってしまうと、欠陥住宅になる可能性があり、のちのち大きなトラブルになることもあります。
ローコスト住宅で欠陥住宅トラブルが発生する原因は3つ
現場の管理不足
欠陥住宅が起きる問題の根本はほぼ「監理不足」に起因しています。
家を作る現場では、基本的に現場を仕切っている「現場監督」がいます。
しかし、現場監督といえども人間なのでミスをすることもあります。
まして、多くの軒数を同時進行している場合、多くのミスを引き起こす原因にもなります。
現場監督の仕事が増えすぎると、このようなミスになってしまうことが多々あります。
そして、監督が同時に多くの軒数を持ってしまう原因はローコスト化するために起きています。
ローコスト住宅を実現させるには、多くの人間を雇うのではなく、少数精鋭で短期に仕事をすることにあります。
そして人件費を削減した結果、一人当たりの仕事が増えてしまうのです。
極端な短期工事
先ほど現場監督が多くの案件を抱えている、というトラブル原因がありましたが、短期工事もさらにそれを加速させています。
現場監督だけでなく、短期すぎる仕事になると職人の方全員が急いで家を建てていることになります。
納期が短く設定されていると、それだけで焦りや不安からミスが増えてしまいます。
また、現場監督もなかなか時間が取れず、全部の施工を把握するのがますます難しくなっていくので、細部までのチェックというのはさらに難しくなってきます。
予定の仕事が終わっていないのに、時間もないとなると、予定時間以上に働くことにもなります。
そこから過労になると、判断力の低下や事故の心配にもつながります。
そして、故意にではありませんが、結果的に欠陥住宅になっていまうことがあります。
検査の手抜き
国が定める建築基準法では、設計段階から完成まで三回ほど検査が介入します。
- 設計段階で耐震や家の構造などのチェック
- 施工段階できちんと作られているか中間検査
- 施工完了段階で耐火や排水、構造などのチェック
以上のような検査が行われます。
通常のローコスト住宅のメーカーであれば、何も問題ありません。
とはいえ、メーカーによっては短い釘を使うことや、三ヵ所釘で留める部分を一ヵ所で留めるなどの手抜き工事が行われる場合があります。
少しでも安く家を建てるように、通常の釘より安価な短いものを使ったり、通常の部材よりも安価な劣化しやすいものを使う悪いメーカーもいるのです。
施工中に入る中間検査も家が建つ途中で一度入るだけなので、施工完了するまで誰に確認されることがありません。
そして、これは家が完成した後に見た目では分からないような場所に安価なものが使われているので、家の内部の劣化が早かったり、劣化が激しかったりします。
その後、家に住み始めてから何年後かに気付くのです。
これがのちのちの欠陥住宅のトラブルになっていくことが多いです。
ローコスト住宅の失敗談
小さいすぎる家で失敗
ローコスト住宅では家自体を小さくすることでさらに安価に家を建てることが出来ます。
しかし、小さすぎると失敗もあるようです。
例えば、省スペースな回り階段を作ったら、人は通れるけれど大きな家具の搬入が大変になることがあります。
ピアノや二段ベッド、大きめのテレビなどは注意が必要かもしれません。
また、子供が小さいうちに小さめの家を建てると、子供の成長に合わせてリビングが狭く感じだすことがあります。
そして子供の部屋自体も、子供が成長した後友達を呼んだりしたくても、何人も人が入れるようなサイズではなかったりします。
子供がいる場合は、いずれ成長することも加味して部屋のサイズを考えなければいけません。
さらに、他の部屋を大きくしたい都合上、脱衣所や洗面室を狭くすると、子供の着替えを手伝う時に難しくなったり、朝の忙しい時間に歯磨きや顔を洗う時に取り合いになったりすることもあるようです。
トイレの個室も小さめに作ってしまうと、子供が小さいときにトイレを手伝うのが大変だったり、老後にトイレ介助が大変だったり、ということもあります。
どれぐらい住む家なのか、今後のことも考えての設計が必要かもしれませんね。
シンプルすぎる間取りで失敗
間仕切りを減らしたオープンな間取りがコストダウンにはうってつけです。
しかしその反面、住んでみると問題があることもあるようです。
一階をほぼ全てワンルームのように壁を作らなかったり、吹き抜けにすると、エアコンの効きが悪かったり、電話の声も筒抜けになることもあるようです。
冷暖房は想像していましたが、まさか声もよく通るようになるとは驚きですね。
また、オープンキッチンにしてLDもつなげると、キッチンが丸見え状態になり、隅々まで片付けてないと汚く見える、というのも意外と建てて見ないと気づけない問題点です。
さらに、廊下を出来る限りなくして設計すると、ドアはあるものの、トイレの音が居間に聞こえてくる、なんてこともあるようです。
音は空気を通して伝えるので、部屋の区切りを少なくすことで音が響くようになるようです。
これは確かに住んでみないと分からないところですね。
内装や設備のグレードが低すぎて失敗
ローコスト住宅は内装や設備のグレードを低くしてコストをかけないのもポイントの一つですが、そこでやはり失敗だった点が出てくるようです。
例えば、壁紙をビニールクロスにするというのは割とあるようですが、その結果すぐ汚れたり継ぎ目が浮き出てきたり、ということもあるようです。
また、エコキュートのタンクを小さめにした結果、人が泊まりに来たり、冬に追い炊きをするとお湯が足りなくなる、なんてこともあるようです。
さらに、キッチンのコンセントを減らした結果、ハンドミキサーやコーヒーメーカーなどの調理器具を使う時にコンセントが足りなくて大変、ということもあります。
そして、トイレも家に一つの方がコストダウンになりますが、朝から家族で順番待ちになったり、夜中トイレに行くときも部屋から遠かったりと、意外と不便は多いようです。
家族の習慣や使うものの頻度、季節に関する習慣や生活サイクルもよく考えなければ失敗することがあります。
家以外にもコストがかかり失敗
家のコストダウンについては、生活サイクルや我慢することで何とか抑えることが出来ます。
しかし、家以外にもお金がかかるポイントがあります。
家を建てる前にする地質調査や地盤の調査で追加料金がかかることがあります。
これは、元々の地形や土の感じ、田んぼに使っていたことがあるものや、昔は池だったなど色々なことで発生します。
これに関してはパッと見て判断出来ません。
調べてみて、意外と金額がかかったなんてこともあるようです。
また、丁度下水道工事をしている地域だったために、最初のうちは浄化水槽を取り付けなければならず、しばらくしてからさらに下水のための配管を通す工事をしなければならなくなった、という地域もあるようです。
そして、家や土地のお金だけではなく、家を建てる時に登記費用や税金などを見込んでいないと、ものすごく出費がかかったように感じてしまいます。
ローコスト住宅を建てるだけで、安価に家が手に入るわけですが、税金や土地なども考えると、坪単価で計算しているだけの金額では収まらないことがよく分かります。
この点も注意が必要です。
ローコスト住宅のトラブルを回避する方法
オプションについて確認する
まず、契約する前にオプション価格について細かく確認しておきましょう。
指定された間取りから少し変更するだけでオプション扱いになるメーカーもあります。
また、設備について、事前に調べておき、何が自分たちに必要な設備なのか考えておきましょう。
キッチンは広くないといけない、トイレは二ヵ所欲しいなど、生活サイクルによって欲しいものが人によって違ってきます。
そこを変更することでどれだけオプション価格が上乗せされるのかよく考えてから契約しましょう。
そうすれば、後々設備での後悔やトラブルになるのを減らすことが出来ます。
見積もりをしっかり確認する
契約前に自分たちの意見を盛り込んだ見積もりを作ってもらいましょう。
ホームページで見積もりを作れるメーカーもあるので、色んなメーカーの見積もりと比べて吟味していきましょう。
そうすると、このメーカーは排水管についての金額が項目に入っている、このメーカーは工事費用については別途と書いている、などメーカーによっての書き方の違いも分かってくると思います。
その中に気になるメーカーがあれば、書かれていない項目について質問が出来ますし、ただメーカーの話に流されるだけの会話にならなくて済みます。
見積もりをもらって何となく良い気がする、というだけで契約してしまうと、後々トラブルに巻き込まれてしまうので要注意です。
現場監督と連絡が取れるのか確認する
前述でもあった通り、欠陥住宅になってしまうことの半分は人為的なものです。
現場の人間が忙しすぎて連絡も取れないようであれば、労働しすぎていたり、キャパを超えての仕事をしていることもあります。
そうなると、故意ではなくても欠陥住宅になることになります。
せっかく、素敵な家を建てるのであれば、自分たちも会社も現場の人たちもみんなが幸せになれるものを作ってもらえる方がいいです。
また、どんな人が作っているのか知ることによって、信頼出来そうなのか、安心して家づくりを任せられるのかを確認も出来ます。
契約前に現場監督と連絡が取れるのかを確認してみましょう。
ここで、嫌そうな雰囲気を出されたり、断られることがあれば、危ないメーカーの可能性があります。
「契約してからなら」など、契約を急がせることがある場合も注意した方がいいでしょう。
信頼出来るメーカーを選ぶ
自分たちは家づくりのプロではありません。
結局、施工中に何度確認しに行っても構造が分からないので細かいところをチェック出来ないのです。
だから、最終的に信頼出来るメーカーに任せるのが一番です。
とはいえ、この信頼出来るメーカーかどうかは自分たちできちんと確認しなければいけません。
先ほどの「現場監督と連絡を取ってもらう」ことや「職人の方に会わせてもらう」、出来るなら建築現場を見に行かせてもらうなどが出来るといいでしょう。
何を見られても大丈夫なメーカーであれば、きちんと誠意を持って対応してくれます。
逆に断られたり、困っていたりするなら、何かあるかもしれないので、信頼出来るメーカーではなさそうです。
注意して確認してください。
まとめ
いかがでしょうか。
ローコスト住宅のトラブル、と言っても、メーカーが思う金額とこちらが思う金額が違っていたり、オプション価格についてであったり、注意して確認すれば防げるものが大半でした。
また、欠陥住宅についても、信頼出来るメーカーをきちんと探すことが出来れば防ぐことが出来ます。
トラブルの原因が分かれば、ローコスト住宅も怖くありません。
安くて安心なより良い家を手に入れましょう。