せっかくローコスト住宅で安く家を建てたのに、維持費が高くてがっかり…
そんな事態を回避するために大切なポイントをこの記事では紹介します。
建築費が安く済むことが魅力のローコスト住宅ですが、その維持費が高いようでは魅力半減ですよね。
ローコスト住宅のプランニング段階から気を付けることで、維持費が高くなってしまうことを回避できるポイントがいくつかあります。
ローコスト住宅ならではの特徴を踏まえ解説するので、ぜひ参考にしてくださいね。
この記事の目次
ローコスト住宅にかかる維持費には何がある?
- 光熱費
- 保険料
- メンテナンス費用
これらの維持費はどのようなタイプの家にもかかるものです。
ローコスト住宅であることが理由でそれぞれの維持費が高くなる可能性があるのでしょうか。
また高くなる危険がある場合、どのようなポイントに気を付ければ高くなることを避けられるか解説します。
ローコスト住宅は光熱費が高くなる危険あり!
ローコスト住宅のどのような特徴のため、光熱費が高くなるのか見てみましょう。
断熱材グレードが低い傾向
ローコスト住宅は、ローコストを実現するために設備の仕様グレードが低く抑えられている傾向があり、断熱材も例外ではありません。
水回りや設備機器などのグレードはさておき、断熱性や気密性に関するグレードが極端に低く抑えられている場合は光熱費に打撃を与えるでしょう。
外気の暑さや寒さをカットする性能が良くないとエアコンの効きが悪くなり、さらに気密性が低いとせっかく快適にした空気がどんどん外へ逃げてしまいます。
サッシ(窓枠)やガラスのグレードが低い傾向
ローコスト実現のためサッシやガラスの仕様グレードをあまり下げると、エアコンの効きに影響を与えるため、注意したいポイントです。
サッシやガラスのグレードがあまりに低いと、断熱性能が下がってしまいます。
なお窓が大きいほど、そのグレードによってエアコンの効きが左右されます。
窓の断熱がしっかりされていない部屋を快適に保つためには、エアコンの設定を強くしなくてはならず、結果的に光熱費が高くなるでしょう。
エアコンは家庭の電気代で大きなウエイトを占める家電とされるので、エアコン効率が悪いことは光熱費が高くなる大きな原因になります。
仕切りや扉を減らした間取り
ローコスト住宅ではコストカットのため、収納に扉をつけなかったり、仕切りを少なくしたりといった間取りやデザインが選ばれることもあります。
快適な温度に保つスペースが広すぎるとエアコン効率は悪くなるため、ローコスト住宅の間取りの特徴は光熱費を高くする原因となる可能性があるでしょう。
光熱費を安くするポイント
高断熱・高気密のための設備グレードは下げない
ローコスト住宅であっても高断熱・高気密を実現するための設備グレードを下げないようにすれば、無駄な光熱費をかけずに生活できます。
高断熱・高気密は家づくりでよく聞く言葉ですが、これらは快適な室内環境のために欠かせない条件とされます。
断熱材には多くの種類がありますが、安価なタイプのものにはそれなりの理由があるので、初期費用と維持費のバランスを考えることが大切です。
安い断熱材は湿気に弱いため、しっかりとした施工をしないといつも湿った状態になり、カビが発生するリスクが出てきます。
多くのローコスト住宅メーカーは、安価なタイプの断熱材を標準として使っている可能性が高いので注意が必要です。
初めから高断熱・高気密をセールスポイントにしているローコスト住宅メーカーを選ぶと、安心してプランニングができるでしょう。
ローコスト住宅は基本プランに沿ってプランニングすることで家を安く建てているので、標準から外れた依頼をすると高額なオプション料金がかかる可能性が高くなります。
新築時、大きな窓のグレードをかなり高くしましたが、それでも太陽の熱は伝わり部屋が暑くなるので悩んでいました。
そこで対策としてハニカムシェードと呼ばれる、ハチの巣のような構造が特徴のブラインドを設置したところ室内環境が劇的に改善したのです。
サッシと合わせて高性能なブラインドを取り入れると、さらに効率よく断熱性が高められるのでおすすめです!
大空間を多用した間取りを選ばない
部屋の仕切りや扉を減らした間取りを選ぶことは家づくりのコストカットに役立ちますが、光熱費の面ではコストアップになってしまいます。
長時間過ごすリビングはエアコンの稼働時間も長くなるので、特に注意が必要ですね。
しかし長時間過ごす部屋だからこそ大空間にこだわりたい、といった希望が出てくる場合も多々あります。
大空間の希望度が高い場合、大空間とエアコン効率のバランスを取る対策を、プランニング時から計画するのがおすすめです。
シーリングファンの設置は大空間のエアコン効率を良くするを方法として知られているので、最初から設置を計画するのも1つの手ですね。
ローコスト住宅は保険料が割引かれない危険あり!
最低限の耐震性しか守られていないローコスト住宅の場合、保険料の割引が受けられません。
耐震性が低いと保険料が高くなるというより、安くならないのです。
ローコスト住宅は建築基準法を満たしていますが、注意しないと最低限の耐震性しか守られていないため割引の対象とならない可能性が高いのです。
耐震性の高さは耐震等級で表されますが、地震保険の割引には耐震等級2または3の住宅である必要があります。
耐震等級が高いことは地震保険の割引だけでなく、住宅ローンや固定資産税に関する優遇にも影響します。
耐震性が最低限であることは、得られるメリットを手放している状態といえるでしょう。
耐震等級2または3の住宅にするには費用がかかりますが、割引や優遇が受けられるためある程度の期間が経てば、かかった費用はカバーできると言われています。
保険料が割引かれるポイント
耐震等級2または3の家を標準とするローコスト住宅メーカーを選ぶことが、地震保険料割引のためのポイントです。
高い耐震等級をセールスポイントにしているメーカーなら、お得に耐震等級2または3の家が建てられる可能性があります。
少なくとも高い耐震等級に対応しているローコスト住宅メーカーであることは、しっかり確認してから選ぶことが大切です。
また「耐震等級3相当」などの表記には注意することをおすすめします。
「相当」がついていると、住宅性能表示制度による認定を受けていない可能性が高いためです。
そうなると耐震等級3と同等の耐震性があったとしても、地震保険料の割引をはじめ様々な優遇は受けられません。
なぜ認定を受けないメーカーがあるのでしょうか。
実は耐震等級3とはっきり表示するために必要な認定を受けるには、最大で50万円程の審査費用がかかります。
ローコスト住宅メーカーは少しでもローコストにするため、審査費用をかけずに耐震性をアピール場合があるというわけです。
同等の耐震性があれば安心して暮らせるという考え方もありますが、得られるメリットを手放している状態であることは気を付けたいポイントです。
ローコスト住宅はメンテナンス費用が割高になる危険あり!
ローコスト住宅のどのような特徴のため、メンテナンス費用が割高になるのか見てみましょう。
外壁などのグレードが低い傾向
ローコスト住宅メーカーなら、外壁には高確率で窯業系サイディングが採用されるでしょう。
窯業系サイディングが多く採用されるのは安さのためですが、タイルなどグレードの高い外壁と比較すると耐用年数は短く、こまめにメンテナンスすることが推奨されています。
結果的にメンテナンスに費用がかかるといえます。
ちなみに窯業系サイディング自体は、ローコスト住宅メーカーに限らず多くのハウスメーカーが採用している、とても信頼性の高い建材です。
ローコスト住宅で選択すると安くなる理由は、まとめて材料を仕入れてコストカットをするなどの努力によるものなので、安さに不安を感じる必要はありません。
しかしローコスト住宅メーカーの中には、安さを追求するため外壁や屋根のグレードを極端に落としているところがあるかもしれないので、メーカー選びは慎重にする必要があります。
外壁や屋根は風雨に直接さらされるので、特に劣化が心配な部分です。
これらが劣化することは家そのものの劣化につながるので、きちんとした選択をすることが大切ですね。
職人の技術のため完成度に問題がある
外壁は窯業系サイディングに限らず、施工技術が低いと劣化が早まります。
職人にかかるコストをカットすることでローコストを実現しているメーカーの存在も否定できないため、注意した方が良いでしょう。
メンテナンス費用を安くするポイント
質の良い職人を雇っているメーカーを選ぶ
屋根や外壁に限ったことではありませんが、職人の技術が低くて施工の完成度が低い場合はメンテンナンス費用が余分にかかる可能性があります。
不具合が早く出始めるため修繕が必要になったり、早めに交換が必要になったりするためです。
ローコスト住宅は、家の形をシンプルかつコンパクトにすることでコストカットすることが多いので、外壁の施工がしっかりしていれば、むしろ一般的な家より外壁メンテナンスにかかる費用は抑えられるでしょう。
自社で職人を雇っているなど、技術面で信頼できるローコスト住宅メーカーを選ぶことは、結果的にメンテナンス費用の節約につながります。
また不具合を見つけた場合は早めに補修工事などをしてもらうことが、メンテナンス費用を抑えるためには大切です。
穴の開いたセーターと同じように、不具合は放置するほど大きな問題になる傾向があります。
早めに対処するれば小さな補修で済むので、それほど大きな出費にならずに済むでしょう。
外壁のグレードを上げる
タイルなどグレードの高い外壁を標準とするローコスト住宅メーカーを選ぶことも、外壁にかかるメンテナンス費用を抑える方法と言えます。
しかしタイルは初期費用が高いため、建築時に掛けられる予算とのバランスをよく考えることが大切です。
まとめ
ローコスト住宅をローコストで建てて、さらに維持費も安くなるようにするには、設備の仕様グレードにメリハリをつけて選ぶことが大切です。
- 家の構造部分はグレードを下げない
- 使い勝手や見た目のためだけにグレードを上げない
このことを意識すると効率よくプランニングができるでしょう。
家の設備仕様はグレードを高くすれば耐用年数が長くなり、お手入れもしやすいことは当然ですが、無暗にグレードを高くすればその分建築費が高くなります。
反対に何でもかんでもグレードを低くしたら維持費が高くなり、長期的に計算すれば大きく損をすることになるでしょう。