この記事では、古家付き土地を買ったらどうなるかについて解説します。
暮らしたいエリアは決まっているけど、思うように土地が売り出されない…
これは人気エリアでの土地探しでは、ありがちな悩みです。
そんなときに気になるのが、「古家付き土地」ではありませんか?
ちなみに古家付き土地とは、古い家が建った状態で売られている土地を指します。
- リフォームして暮らした方がお得になるのは、どんな古家?
- ローコスト新築・古家一部リフォーム・古家全面リフォーム、それぞれの費用は?
この記事の目次
築浅古家なら古家付き土地はお得なことも!
土地に建っているのが築浅の古家なら、リフォームして暮らした方がお得になるかもしれません。
- 少額のリフォームで暮らせる状態にしやすい
- 古家付き土地は更地より安いことが多い
築浅ということは、家そのものはまだしっかりしていることが多いでしょう。
それなら少しのリフォームで暮らせる状態にできますよね。
さらに古家付き土地は、同じエリアの更地(何も立っていない土地)と比べて、安い傾向があります。
このように、築浅の古家付き土地であれば、とてもお得に戸建て住宅を手に入れられるかもしれません。
新築と古家リフォームの費用比較
古家のリフォームが「少額」で済めば、古家付き土地はお得な買い物であることがわかりました。
さて、少額とはどれくらいの金額までなのでしょうか。
30坪の古家付き土地を1,000万円で買うことを想定して、具体例をみてみましょう。
古家付き 土地代 |
古家解体 費用 |
ローコスト 新築 (坪単価40万円) + 外構 |
リフォーム 費用 |
合計 | |
ローコスト新築 | 1,000万円 | 90万円 | 1,200万円 + 120万円 |
0円 | 2,410万円 |
古家全面リフォーム | 1,000万円 | 0円 | 0円 | 987万円~ | 1,987万円~ |
古家一部リフォーム | 1,000万円 | 0円 | 0円 | ? | 1,000万円+? |
古家全面リフォームの費用は、以下の計算をしました。
(解体費90万円+新築費用1,200万円+外構費用120万円) × 70% = 987万円
一戸建ての全面リフォームは建て替えに比べ費用が約20%〜30%安くつきます。
リフォーム費用を1,410万円以下に抑えられれば、計算上はお得ということになりますね。
では仮に、リフォーム費用が1,400万円になったとしましょう。
このような考え方もできます。
価値観はひとそれぞれなので、一概にはいえません。
しかし、リフォーム費用はもっと安くないとお得感を感じにくいのではないでしょうか。
新築よりどの程度安ければお得と感じられるか、ご家庭で話し合うことが大切ですね。
表でご紹介した以外にも必要な費用はあるので、予算計画には余裕をもたせるのがおすすめです。
ローコスト住宅新築にかかる費用とは
古家付き土地を買って家を新築するなら、まずは古家を解体する工程が発生します。
つまり更地に家を建てるときより、解体費用分、高くなるのです。
ちなみに、家の新築に必要な費用は、土地購入費用、家の建築費用、外構工事費用、諸費用が主なものです。
古家付き土地は更地より割安で売られることが多いとはいえ、解体費用は気になる存在ですよね。
解体費用は家の構造によって異なるのでご紹介します。
- 木造 4~5万円/坪
- 鉄骨造 6~7万円/坪
- 鉄筋コンクリート造 6~8万円/坪
これらは床面積の坪単価で表されています。
古家の構造が木造で、床面積30坪なら、120~150万円かかります。
鉄筋コンクリート造だった場合は、最大240万円かかるかもしれない計算になりますね。
古家一部リフォームにかかる費用とは
- 浴室 50~150万円
- キッチン 50~150万円
- 床面積30坪の家の外壁塗装 約100万円
これは、一部リフォームにかかる費用の一例です。
古家に暮らすとなると、気になるのは水回りと外観ではないでしょうか。
水回りは古いタイプのものだと、使い勝手が悪かったり、不衛生だったりします。
毎日使う部分なので、快適な設備にしたいと考える方が多いでしょう。
また外観は、多くの人に見られる部分なので、劣化していると気になってしまいます。
外観の劣化は見た目だけではなく、雨漏りや基礎部分の劣化を早める原因にもなるので危険です。
外壁塗装の施工費用には足場代も含まれるため、屋根も同時にリフォームするとお得にしやすくなります。
古家全面リフォームにかかる費用とは
- 床面積30坪古家の内装のみ全面リフォーム 約1,000万円~
- 床面積30坪古家の内装・外装の全面リフォーム 約1,300万円~
- 仮住まい(3か月)費用 100万円~
これは全面リフォームにかかる費用の目安です。
全面リフォームは、家の構造部以外をすべて新しくするイメージです。
断熱材なども新しくなるので、新築のような住み心地になるでしょう。
古くて使い勝手が悪い間取りも、可能な範囲で変更できます。
設備グレードなどにもよりますが、全面リフォームは大がかりで、費用も高くなる傾向があります。
さらに土地購入のタイミングによっては、仮住まいを利用する期間ができるかもしれません。
全面リフォームに3か月かかったとしたら、仮住まいにかかる費用は100万円以上になることもあるでしょう。
古家のチェックポイント4つをご紹介
古家をリフォームするのか、ローコスト住宅を新築するのか悩みますね。
しかしその前に!
古家付き土地購入前の、チェックポイント4つを確認してみましょう。
古家によっては、予想外の展開になることもあり得ます!
古家が建てられたのはいつ?
耐震性能の安全性を確認するため
古家が建築されたのが、1981年より前か後かを確認しましょう。
1981年は、耐震基準が見直された年です。
当然、1981年以降に採用されている新基準の方が厳しくなっています。
耐震性の低さ、老朽化などを考えると、リフォームして暮らすのはおすすめではありません。
1981年より後に建てられた古家でも、劣化が進んでいる場合は新築の方がお得でしょう。
古家それぞれのコンディション次第ですが、1981年は1つの目安にできそうですね。
古家の構造は何?
- 解体費用の目安を知るため
- 間取り変更ができる構造か知るため
古家の構造によって、解体費用は異なります。
床面積30坪、木造の古家なら解体費用120万円だとしても、鉄筋コンクリート造なら240万円かかるかもしれないのです。
このように、解体費用に2倍も差が出るため、構造の確認はしっかりしましょう。
そして建物の構造によっては、間取り変更が難しいものがあります。
一般住宅の構造はおもに、木造・鉄骨造・鉄筋コンクリート造の3種類です。
それぞれには、数種類の工法があります。
例えば、木造のツーバイフォーは、リフォームが難しい工法の1つとされます。
ツーバイフォーは、壁で家を支える構造であるためです。
家を支える壁を取り去るわけにはいかないので、どうしても間取り変更に制限が多くなります。
構造によっては、思い通りにリフォームできない古家の可能性もあるのです。
古家の規格寸法は?
規格寸法の設備が使えるか確認するため
古家の間取りに、規格寸法の設備が入らないと、リフォームが複雑になり費用アップになってしまいます。
設備の規格寸法に合わせるため、周辺の壁もリフォームするなどの手間が増えるためです。
浴室を例に見てみましょう。
浴室ならユニットバスへのリフォームが一般的ですよね。
ユニットバスは、安く安定した品質が魅力です。
それは規格寸法で大量生産されていることがおもな理由なので、規格寸法であることが重要といえます。
古家の寸法を確認しておくと、簡単なリフォームで済ませられるかどうかがわかるでしょう。
再建築不可物件でないか?
新築できる土地かどうか確認するため
再建築不可物件とは、古家を取り壊して新しい家を建てることができない土地のことです。
昔は建物が建てられる土地でしたが、法律が変わったことで、建てられなくなりました。
新しく再建築できないのであれば、古家をリフォームして暮らす以外にありません。
もしその古家が、リフォームしても暮らせない状態になったら、他に移り住むことになります。
これらの不利な特徴があるために、再建築不可物件を売ることは難しいでしょう。
隣地も買って、建築可能な土地にするなどの方法はありますが…
古家をリフォームするメリット・デメリット
メリット
- 固定資産税を安くできる
- 格安で戸建て住宅が持てる
- 個性的な家を作りやすい
固定資産税は、「固定資産税評価額×1.4%」で求められます。
建物の築年数が経っている古家は、評価額が低くなるため、新築より安くなると考えられます。
しかし、リフォーム内容によっては固定資産税が高くなるので注意が必要です。
増築を含むリフォームや、家の構造部分のリフォームをすると、増額するかもしれません。
古家の性能が高くなり、評価が高くなるためです。
一方、水回りや劣化を補修するためのリフォームは、影響がありません。
これは古家での暮らすために必要な、最低限のこととみなされるためです。
デメリット
- 断熱性能や耐震性能が劣るかもしれない
- 家の構造部分が古い
- 住宅ローンの借入額が減るかもしれない
表面上リフォームしたとしても、構造部分は建築当時のままです。
しっかり調査をしないと、構造部分はぼろぼろ…
という可能性もあります。
現在ほど基準が厳しくなかったころに建てられた古家なら、断熱性能や耐震性能にも不安があるでしょう。
住宅ローンが減額されるかもしれない理由は、このような古家事情のためです。
金融機関は、融資した資金を回収できなかったときのために、住宅を担保にします。
しかしその住宅に資産価値がなければ担保にならないため、融資できる金額が減るかもしれないのです。
ローコスト住宅を新築するメリット・デメリット
メリット
- 家の構造部分から新品
- 家の性能を高くしやすい
- 間取りを自由に決められる
新築なら、すべて自由に決めることもできます。
すでに建っている、古家のすべてを把握することは難しいですよね。
その点、新築なら材料や断熱材から決められるので、古家と違って不明瞭な部分がありません。
しかし家づくりのすべてにこだわると、ローコストに建てることは難しくなります。
規格にそった選択肢から選ぶことで、ローコスト住宅メーカーは安さを実現しているためです。
こだわる部分を絞って、メリハリあるプランニングをするのがおすすめです。
デメリット
- 建築費用が高くなる
- 古家付き土地に建てるなら解体費用が必要
古家をリフォームするより、0から作り出す新築は費用がかかります。
もし古家付き土地を買って新築を考えるなら、古家の解体費用も必要です。
新築は資産価値が高くなりますが、それなりの費用がかかるためといえます。
まとめ
土地探しに行き詰ったとき、「古家付き」も条件に追加してみたら、思わぬ出会いがあるかもしれません。
しかし飛びつく前に、どのような古家が建っているかをよく確認することが大切です。
もし好みの古家が建っていれば、少しのリフォームだけで暮らせるのでとてもお得でしょう。
古家のテイストも大切ですが、間取りが暮らしやすいかを確認することも重要です。
間取り変更を伴うリフォームは大規模工事になるため、新築した方が安い結果になることもあります。
古家付き土地は安く買えることが多いですが、その後のプランをしっかり固めてから行動することが大切です。